ふそうぼくじょう

10 扶桑牧場


富里町
産業関係・牧畜業・厩舎

木造草葺 幅約6間(約11m)長さ約30間(約56m)

1945(昭和20)年以前

印旛郡富里町両国の扶桑牧場厩舎は,以前この地にあった下総御料牧場の施設である。

下総御料牧場の歴史は古く,1875(明治8)年,千葉県の三里塚に内務省の「牧羊場」として発足している。これは,大久保利通がヨーロッパを訪ねた際,おそらくイギリス皇室の農場を見るなどして,御料牧場の必要性を感じたためと思われる。当時の敷地面積は,4,000haあった1)。

現在,扶桑牧場が使用している厩舎は1945(昭和20)年以前に建築されたものであると思われるが,詳しい資料は残っていない。厩舎は,木造草葺きの屋根で,幅約6間(約11m)長さ約30間(約56m)で小屋組は,筋交い頬杖などの斜材が多用され,明治以後の洋風の技術が見られる。内部は,馬房と呼ばれる部屋が23と飼料や馬具等を収納する倉庫からなっている。上部は,乾燥した牧草を蓄えておく倉庫になっている。

現在も,扶桑牧場の厩舎として使用しているため補修の箇所がいくつか見られる。草葺きの屋根は,雨漏り防止のために青色のトタン板で全体を覆っている。また,厩舎の数カ所にH型鋼を使用した補強が見られる。

(在原 徹)

地形図 「酒々井」(略)

写真10-1 扶桑牧場厩舎全景 (1998年) 写真10-2 厩舎の内部 (1998年)

参考文献

1) 横田哲治:天皇家の御食材,(株)中経出版,1998年
2) 宮内庁:下総御料牧場史,1974年


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