せいしゅふじのともじょうぞうもとかぶしきがいしゃみやざきほんけ

18 清酒富士乃友醸造元株式会社宮崎本家


野栄町

産業関係・醸造業・醸造所

間口4間,奥行き8間
江戸末期

江戸時代末期の慶応年間,同社の創業当時に建築されたものと言い伝えられているが,はっきりとした記録は残っていない。現在ではこの蔵を取り囲むように新しい蔵や釜場の建物が増築されており,また蔵の外装をはじめとして瓦を近代瓦に葺き替えている等の補修が行われており,一見すると隣の大正時代に建築された蔵の方が古いものに感じられるほどである。

いわゆる千葉県東方沖地震の際に,屋根瓦が損傷を受けたために瓦の葺き替えや野地板の交換等の大掛かりな改修が行われた。その際に同社でもはっきりとした歴史的な記録が残っておらず,言い伝えしか残っていない歴史を確認するために建築当初の棟札を探したが,見つけることができなかったという。

木造切妻の構造で,大きさは幅4間(約7.2m),長さ8間(約14.4m)である。小屋組は和小屋の一般的な構成であるが,小屋梁は4間の長さを一本の部材で構成している。これにはかなり太い材料が用いられており,間口が4間と広く,蔵という建物の性質上中央部に柱を設けないようにするためではないかと思われる。

現在でも前述の補修が加えられ,醸造用の樽(現在は鋼板ほうろう引き)を収めるために使われている。

(立川 勇・阿部賞憲)

地形図 「八日市場」 「木戸」(略)

写真18-1 宮崎本家酒造蔵 (1997年) 写真18-2 内部の小屋組の状況 (1997年)

参考文献

1) 尾上孝一:図解木造建築の技術,理工学社,1964年 


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