ふちゅうばし
32 府中橋
館山市 |
交通関係・道路・道路橋 |
橋長36.2m,幅員4.0m
1938(昭和13)年 |
三芳村府中から遠く南に延びている砂丘の上に昔の安房国国分寺や国分尼寺,また国府等が置かれ,砂丘の中間を平久里川及び滝川の流れが切っている。集落は条里制の遺構らしく,正しく南北に走る大道に直角の東西の方向に整然と地割りされていた。
府中橋は那古町から三芳村へ通ずる街道(市道2076号線)が平久里川をまたぐための橋で,府中村にあった八幡神社への道筋上にある。また,船形と千倉とを結ぶ街道上にも当たる。その当時の漁業を知る者は「館山湾での漁が終わると,冬はあじ,鯖,イカを求めて大型船は海を,また,1〜2人乗りの小型船は馬車に乗せて陸路で千倉に移動し漁を続け,春になると再び来た道を戻り館山湾での漁を続けた。」と語っていた。現在の橋は1938(昭和13)年に鉄筋コンクリート斜路橋として建設されたもので,左右の親柱には「府中橋」の銘板と「昭和十三年四月」の橋歴板がはめ込まれていた。また,親柱に続いて,コンクリート製の高欄(高さ0.675m)が取り付けられている。その構造は次の通りである。
構 造:鉄筋コンクリート造T桁上路橋
下部工形式:重力式橋台,ラーメン式橋脚
規 模:橋長36.2m,幅員4.0m
(歩0.0+車4.0+歩0.0)
最大支間長9.1m,4径間
下部工:木杭
橋 格:1等橋(活荷重12t,永久橋)
設計は1926(大正15)年道路構造に関する細則案に基づいている。なお,この橋の建設の後,周辺の農地区画改良・整理および交通事情の変遷を受けたためか,平成の現在では地方道に架かる橋として地域の人々の便を確保している。
(瀧 和夫)
地形図 「安房古川」 (略)
写真32-1 府中橋全景(1997年) | 写真32-2 府中橋橋上部(1997年) |
図32-1 府中橋概要図3) (略)
参考文献
1) 千葉県館山市橋梁台帳
2) 館山市編さん委員会:館山市史,第一法規,1971年
3) 千葉県館山市:市道2076号外1線橋梁調査業務委託報告書,1993年