どうぶてつどうのだしえき

45 東武鉄道野田市駅


野田市

交通関係・鉄道・駅舎

1929(昭和4)年

東武鉄道野田線の野田市駅は,大宮を起点として28.6kmに所在する。主な沿革は次のとおりである。

1911(明治44)年5月9日
 千葉県営軽便鉄道(柏〜野田間)開通

1923(大正12)年8月1日
 北総鉄道(1929年,総武鉄道に改称)へ譲渡

1929(昭和4年)9月1日
 清水公園〜野田町 開通 駅位置変更

1929(昭和4年)11月22日
 総武鉄道拠点駅として駅舎新築(現駅舎)

1944(昭和19)年3月1日
 東武鉄道に合併。東武鉄道野田線となる
 野田業務部が設置され野田線の中心駅となる

1950(昭和25)年5月30日
 駅名改称 野田町→野田市

1986(昭和61)年4月12日
 駅舎改築(骨組みを残し,全面的に室内を改装)

前述のように,東武野田線は千葉県営軽便鉄道として開業したが,この建設費は全額を県債とし,野田醤油組合が引き受けた。後に北総鉄道に譲渡され,その後,1929(昭和4)年総武鉄道に改称されるが,この会社ではしばしば拠点駅(本社)が変わるといった事がおこっている。

初代の駅舎は,1929(昭和4)年の春日部〜船橋間の直通運転により,川間駅の駅舎に移築転用し,1970(昭和45)年まで使用されたが,駅舎新築工事により,清水公園内の乗りもの公園へ移築保存された。しかし,老朽化が激しくなったため,1990(平成2)年には解体され,見ることはできなくなったが,部材が野田市教育委員会によって保管されている。

2代目駅舎(現駅舎)は2階建で,当時の駅舎としては必要以上の大きさであり,本社屋としての風格を今に伝えているが,東武鉄道に合併されて以来,現在まで保線区などが駅舎の半分以上を使用している。

この駅舎は1986(昭和61)年に改装されるが,この工事はホームを含む大規模なものであり,野田市駅にとっては大きな変革であった。

特に第2ホームは副線側に拡幅され,廃レールを利用した上屋柱は1960年代のものに変えられた。しかし,本屋側には大正時代と思われる国産45ポンドレールを使った上屋柱列,1920年代の国産37扁平レールを使った上屋柱列が残っている。この中で,国産45ポンドレールに交じり,1本だけ「G.H.H.1910」の銘文のレールが見られる。これはドイツのグーテホフヌングヒュッテ社製45ポンドASCE型レールである。輸入レールとはいえ,廃レールとなってからは国産45ポンドレールと同じ扱いとしたため,混入したものと思われる。

(山下耕一)

地形図 「野田市」 「守谷」(略)

図45-1 野田市駅構内配線図

図45-2 旧野田町駅駅舎間取図
1970年,清水公園へ移築の際に作製したもの (野田市教育委員会)

写真45-1 2代目野田町駅駅舎(1928年頃撮影)野田市郷土博物館提供 写真45-2 ドイツ製45ポンドレール柱(1997年)
図45-3 野田市駅第2ホームレール柱位置図(英数字は銘文を示す)

参考文献

1) 白土貞夫:ちばの鉄道一世紀,崙書房,1996年
2) 宮脇俊三・原田勝正:日本鉄道名所 第3巻  首都圏各線,小学館,1987年


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