けいせいでんてつだいにかどうきょう

57 京成電鉄第2架道橋


習志野市

交通関係・鉄道・橋梁

1921(大正10)年

一対の橋台とIビーム(工型桁)からなる橋梁で,1921(大正10)年に京成電気軌道千葉線が開業した当時の構造物である。開業当時から複線であったため,橋台の幅も複線分あり,桁は上下線に1連ずつ架っている。

Iビームはスパンの短い橋梁に用いられる桁としてごく一般的に用いられたもので,圧延鋼を主桁としてこれをアングルでつなげただけの最も単純な構造の橋梁である。桁は長さ20フィートのものを使用しており,上下線とも同一設計である。ウェブにある銘板には「大正九年・横河橋梁製作所」と記されており,開業当初から架かる桁であることがわかる。なお,京成電鉄は1959(昭和34)年に線路の幅を1372mmから1435mmに改軌したが,改軌による桁の改造は特に行われなかったようである。また,桁の下フランジには,溶接補強がなされている(後天的な改造と推定される)。

橋台の構造は煉瓦であるが,大正中期の段階ではほとんどの橋梁下部構造はすでにコンクリート材料を使用していたと考えられており,煉瓦構造物としては最も晩年のグループに属するものと思われる。煉瓦の積み方は一般的なイギリス積みで,隅部のおさまりには“羊羹”を用いず“七五”の煉瓦で処理している。桁座にあたる部分には床石が備わっており,現在架かる主桁の位置と完全に一致していることからも,この橋梁が開業当初からほとんどその姿を変えていないことが理解される(橋側歩道や桁下防護工は後年追加されたもの)。

橋台のウイングは最も一般的な間知石による谷積みで,目地の部分はセメントで埋められているが,当初は空積みであったものと推定される。

構造的にも意匠的にもそれほど珍しいものではないが,明治・大正期における小径間の鉄道橋梁の姿を今日に伝えている。

(小野田 滋)

地形図 「習志野」(略)

写真57-1 京成電鉄第2架道橋(1997年)

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