こみなとてつどうつきざきだいにとんねる

63 小湊鉄道月崎第2トンネル 


市原市

交通関係・鉄道 隧道

全長20.12m, 全幅4.88m, 全高5.64m
1925(大正14)年

上総久保(五井起点22.08km)を出た小湊鉄道線は,それまでの丘陵地帯から,山間部に入り,ところどころに20パーミル(1000分の20)の勾配が交じってくるが,月崎附近はまだ谷間部が広く,山岳路線特有の圧迫感は少ない。

月崎第2トンネルは,月崎駅(五井起点29.9km)を出て間もなくの五井起点30.4kmに所在するコンクリート製の馬蹄形トンネルである。市原市教育委員会の資料によれば,1925(大正l4)年の竣工となっているが,この区間の開通は1928(昭和3)年5月16日であり,開業に先立つ3年前に竣工したことになる。トンネルに銘板はなく,図面もないため1925(大正14)年の竣工をどのようにして確定したか不明である。しかし,五井〜里見間が1925(大正14〉年3月,里見〜月崎間が1926(大正15)年9月であることを考えると,五井〜月崎間は同時に着工され,比較的工事が容易な丘陵部(五井〜里見間)が先に開通し,山間部(里見〜月崎間)が後になった。さらに,月崎から先の区間も建設資材搬入のために,間もなく着工されたと考えれば,月崎第2トンネルが開業の3年前に竣工していたとしてもおかしくはない。

月崎第2トンネルの概要は次のとおりであるが,図面がないため,数値は市原市教育委員会報告の予備調査票によった。
全長=20.12m
最大幅=4.88m
レール面高=5.64m

なお,小湊鉄道では月崎第2トンネルと同一仕様であるとして,月崎第1トンネルの図面を提供していただいた。実測できる部分で照合した結果,ほぼ一致していたので,参考までに掲載する。

なお,図面はフィートインチで記載されているため,ミリ単位に換算し小数点1位を四捨五入したものである。

また,小湊鉄道線の場合,月崎第2トンネルよりも長大な大久保トンネルなどがある。これらのトンネルもコンクリートによるものであり,橋梁と同じく,共通の基本設計がなされていたことも考えられる。

抗門最大幅(上端部)=10970mm
抗門最小幅(下端部)=3359mm
抗門高=7391.4mm
抗門コンクリート最大厚=610mm
抗門コンクリート最小厚=457mm
壁厚(地質が硬岩の場合)=229mm
壁厚(地質が軟岩の場合)=457mm
盲溝幅=305mm(基盤面から)
盲溝深=305mm(基盤面から)
レール面高=381mm(基盤面から)

(山下耕一)

地形図「大多喜」(略)

図63-1 月崎第2トンネル附近線路断面図2) 写真63-1 月崎第2トンネル起点方(1997年)
写真63-2 月崎第2トンネル終点方(1997年) 図63-2 月崎第1トンネル抗門図3)

参考文献

1)白土貞夫:ちばの鉄道一世紀,崙書房,1996年
2)宮脇俊三・原田勝正:日本鉄道名所 第3巻 首都圏各線,小学館,1987年
3)小湊鉄道:第1月崎隧道図

※「図63-1 月崎第2トンネル附近線路断面図」は,小学館刊『日本鉄道名所第3巻 首都圏各線』174・175ページに掲載されている「小湊鉄道線路断面図」を,転載したものである。


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