よこたのかせんていぼう

71 横田の河川堤防


袖ヶ浦市

土木関係・河川・堤防

1917(大正6)年

横田の河川堤防は小櫃川沿いにある。小櫃川は県中央部の清澄山系に源を発し,木更津市市街の北より東京湾に流入する県内最長の川である。その流長は77kmに及び,流域面積は273.0kuで県内3位である。土質は砂質凝灰岩の三浦層であり,川の中央は穿入蛇行している。大正末までの小櫃川は今より川幅が狭く深かった。洪水も非常に多く,5〜10年に一度は堤防が切れて田畑が水没した。流砂土砂が多く,川岸は自然形成のままであった。しかし,大正年間の数度の大水を経験し,昭和初期には農林救済工事が行われた。さらに昭和33年度からの中小河川改修工事及び災害復旧工事がなされた。しかし,どれも局部的な施工であり根本的な解決には至らなかった。1970(昭和45)年6月30日から7月2日にかけて集中豪雨があり,小櫃川の増水は激しく,流域被害は甚大なものとなった。結果,抜本的な河川改修工事の必要性が痛感され,当年より4年間の歳月をかけて工事を行った。川幅を広げるとともに,両岸をコンクリー造とした。これが現在の横田の堤防である。

横田堤防の上流にかかる富川橋の付近では河川幅は,上幅85m,下幅63.5mである。なお橋自身は旧橋に比べ河川改修の実状に即応して28m継ぎ足された。

現在,堤防は全体的に土でおおわれ,コンクリート部分は,表にあまり出ていない。構造の断面を見ると図71-1のようであり,三段より成っている。

二段目は大量の砂が堆積しており,砂地化している。葦やスギナなど植物も多く繁っている。

一段目は,コンクリート部分だけである。

川の両岸には土の堤防があり,その外側は水田である。しかし,都市化の波が次第に迫ってきており,近くに住宅も増えつつある。1970(昭和45)年以降,大きな災害による被害は報告されていない。支流域での河川改修工事が現在行われている。

(白石 稔)

地形図 「上総横田」(略)

写真71-1 堤防のようす(1997年) 
写真71-2 宮川橋を見る(1997年)
写真71-3 一段目(1997年) 写真71-4 二段目(1997年)
図71-1 堤防の断面

参考文献

1)平川町史編纂委員会:平川町史,袖ケ浦町,1973年
2)袖ヶ浦町史執筆委員会:袖ヶ浦市史 通史編下,袖ヶ浦町,1990年
3)県立中央図書館:資料の広場No19,1988年


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