にしまちすいどうくみあいちょすいたんく

74 西町水道組合貯水タンク


茂原市

土木関係・上下水道・貯水槽

高さ3.1m,直径1.7m
1920(大正9)年

1920(大正9)年に茂原西町で結成された西町水道組合の貯水タンクであるが,現在では市営の上水道が整備されたため組合は解散し,貯水設備として使用されていない。

西町水道組合は従来から悪水に悩まされていた西町の住民が,藻原寺の裏山から自然に湧出する湧き水を利用するために住民約100名をもって組合を組織したものである。

構造は外見上コンクリート造のようであるが,一部表面のモルタルが剥離した部分から赤茶色の煉瓦を確認することができ,煉瓦造り表面モルタル仕上げであるといえる。確認することは不可能であったが,貯水タンクという性格上内部にもモルタルが塗られているものと思われる。

そして現在では貯水タンクの内側から木が生えており,一見すると奇妙な光景を呈している。このことから上部は開放となっていることになるが,当初から覆いが無かったのか,後になって撤去もしくは破損したのかは定かではない。

タンク側面には地表面から1,250mm位の高さに直径60mm程度の管が取り付けられているが,その高さ等から判断するとこの管は配水管であると考えられる。

その配水管は口径2インチの鉄管で,藻原寺参道から県道の北沿いに亀齢橋まで敷設され,その途中に約20個の共同水栓が設けられていた。

この水栓は周囲数件で共用するものであったが,とにかく水が不足していたために,常に順番にバケツを並べて水を汲むというような状況であり,喧嘩の始まることがしばしばみられたという。

そして1946(昭和21)年に旧茂原海軍航空隊基地が使用していた水道設備の一時使用許可を受けたことで始まった町営水道事業のなかで,西町水道組合は施設の一切を町に提供し,茂原飛行場から新たに引かれた水道管に接続した。

(立川 勇・阿部貴憲)

地形図 「茂原」 (略)

写真74-1 西町水道組合貯水タンク(1977年)

参考文献

1) 茂原市史編さん委員会:茂原市史,茂原市,1966年


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