1814〜1875:Jean- Francois MILLET
前景が非常の暗く、奥が明るい画面構成で全体が光につつまれている。右端には青衣の人物が配されている。自然や動物と共存する農民の日常生活がテーマである。有名な《落穂拾い》《晩鐘》と同時期の1860年頃の作品である。ミレーは、バルビゾン村に移り住んで11年がたち、画商もついて生活は安定し始めた。年齢も46歳と脂が乗り、円熟期の秀作である。
ミレーは、コロー、ルソー、デュプレ、ディアズ、トロワイヨン、ドービニーとバルビゾンの七星と呼ばれるが、風景よりも農民の暮らしを好んで描いた。フォンタネージが浅井忠たちにミレーらバルビゾン派を伝えた。
作品に出てくる羊はキリスト教では信者を象徴するが、ミレー自身も敬虔なクリスチャンであった。幾分、宗教的な情感を含んだ叙情性豊かな作品は多くの日本人の心情に共鳴し、最も愛されている画家の一人である。アメリカでも人気が高いが、そのメッセージは現代へのエコロジーではないだろうか。(米田耕司)