房総(千葉県)の地衣類図鑑
G2:(緑藻地衣)樹状(じゅじょう)地衣

千葉県産でこ仲間の地衣類として知られるのは,以下の4グループだけです:Usnea サルオガセ属,Ramalina カラタチゴケ属,Cladonia ハナゴケ属,Stereocaulon キゴケ属.

この4つを形態的な特徴で区別することは比較的容易ですが,種によっては,あるいは標本によっては難しいことがありますので,いろいろな種の画像を比較してみてください.

 

4つのグループの区別

1a.鱗片状(あるいは顆粒状)の基本葉体と,樹状の子柄からなる.子柄は中空で,乾くともろい・・・Aへ(Cladonia ハナゴケ属)

1b.鱗片状の基本葉体はないし(基物への付着部位周辺に顆粒状の構造がある場合がある),樹状部分に鱗片状の構造を生じることはない.樹状部は中実か中空,乾いても,もろくはない・・・2
2a.樹状の地衣体の中央部(断面)にクモの巣状の菌糸が詰まるか,やや中空となり,固い中軸を欠く・・・Bへ(Ramalina カラタチゴケ属)
2b.樹状の地衣体(断面)のほとんどを強固な中軸が占めるか,中央に比較的細く固い中軸がある・・・3
3a.地衣体(断面)のほとんどは強固な中軸が占め,その表面は,顆粒状か円筒状,あるいは多少ともサンゴ状となる,通常は灰白色の棘枝で覆われる.主として岩上に生育し,千葉県産のものでは多少とも立ち上がって高さ1~3cm程度・・・Cへ(Stereocaulon キゴケ属)
3b.地衣体(断面)の表面には比較的薄く固い皮層があり,クモの巣状の髄層を囲み,その中央には比較的細く強固な中軸がある.灰緑色か,赤味を帯びる.樹皮あるいは岩上に生育し,多少とも垂れ下がり,千葉県産のものでは通常は長さ5~20cm・・・Dへ(Usnea サルオガセ属)
 

A. Cladonia ハナゴケ属 

→(●)分類体系:ハナゴケ属

赤実群(子器が赤いグループ)

ph opuntiella ph opuntiella  
Candelaria macilenta コアカミゴケ Cladonia pleurota アカミゴケ  

開口群(子器は褐色.分枝の脇に孔が開くグループ)

ph ph ph
Cladonia crispata ショクダイゴケ

Cladonia furcata マタゴケ

Cladonia caespiticia ドテハナゴケ

閉鎖褐実群(子器は褐色.分枝の脇に孔が開かないグループ)

ph ph ph
Cladonia humilis ヒメジョウゴゴケ

Cladonia chlorophaea

ジョウゴゴケ

Cladonia grayi グレイジョウゴゴケ
ph ph ph
Cladonia humilis ヒメジョウゴゴケ

Cladonia fruticulosa

タイワンレンゲゴケ

Cladonia coniocraea ヤリノホゴケ

B.Ramalina カラタチゴケ属

→(●)分類体系:Ramalina
海岸生(海岸の岩上に生育)
ph opuntiella ph opuntiella  
Ramalina siliquosa ハマカラタチゴケ Ramalina litoralis イソカラタチゴケ  
非海岸生
ph opuntiella ph opuntiella  
Ramalina yasudae イワカラタチゴケ Ramalina peruviana コフキカラタチゴケ  
 

C.Stereocaulon キゴケ属

ph opuntiella    

Stereocaulon japonicum ヤマトキゴケ

(●)

   

D.Usnea サルオガセ属

→(●)分類体系:Usnea
ph opuntiella ph opuntiella ph opuntiella
Usnea rubrotincta アカサルオガセ

Usea bismolliuscula

コブクレサルオガセ

Usnea baileyi ウツロヒゲゴケ