3.緑藻とシアノバクテリアをフォトビオントとする例

1)頭状体(外部頭状体)

キゴケ属 Stereocaulon

 右の写真では,灰色(紫灰色)の瘤のようになっているのが頭状体です.擬子柄の全体にわたって,灰白色(あるいは灰緑色)のツブツブが覆っていますが,こちらには緑藻が分布しています.

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キゴケ Stereocaulon exutum

紫灰色の頭状体

 

ハイイロキゴケ Stereocaulon vesuvianum

黒色の頭状体

ツメゴケ属 Peltigera

ヒロハツメゴケモドキ Peltigera leucophlebia

日本産ツメゴケ属Peltigeraの多くは,シアノバクテリアをフォトビオントとしていて,濡れると黒っぽくなります(例:右写真のモミジツメゴケ).しかし,緑藻を主なフォトビオントとする種もわずかにあります.下に示したヒロハツメゴケモドキがそんな種で,濡れると左下の写真のように全体が緑色になります.よく見ると,表面に黒っぽいゴマ粒のようなものが散らばっていますが,これが頭状体です.右下の写真は,乾燥標本の拡大写真で,幾つか頭状体が見えています.

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  濡れたヒロハツメゴケモドキ 乾燥標本の拡大