2003エコメッセちばを評価する――新しい協働を考える



TEA−NET 新保浩一郎

1.TEA−NET(明日の環境研究会)とエコメッセちば

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 TEA−NETは、千葉県環境部に在籍したことのある県庁職員を中心とする自主研究グループです。環境学習の持つ可能性に惹かれ、自らが参加体験型の環境学習プログラムを体験しながら、協働する楽しさを共有しています。県民のいろんな人たちが、環境学習を通じて環境について気づき、環境を保全し、良好な環境を保つように行動を実践していくようにするために行政がするべき仕事を検討することを目的としています。
エコメッセは環境シンポジウムよりは1年遅れてスタートしました。TEA−NETは、エコメッセちばにずっと参加してきましたが、私は最初からはかかわっていませんので、やや外側の視点から、1996年からの9年間を、10年目を前にした政策評価を試みるということで評価したいと思います。    

2.政策評価の要素
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 目的の正当性を評価します。項目別に言いますと、1.目的の正当性、2.政策の目的適合性、3.政策の合理性相当性、4.政策の実績、5.団体および事業の経済的自立性、6.時による評価、7.政策実現プロセスの正当性に分けて考えられると思います。


3.実施主体を評価する

 エコメッセは当初から実行委員会で運営されてきました。実行委員会は法人格を持たないNPOです。実行委員長は加藤さん、副実行委員長は千葉県産業廃棄物協会から、そして千葉県の環境生活課長、千葉市の環境調整課長がかかわっています。もともと、市民と行政は対立軸のようなものですが、それを超えていく姿勢が評価されます。主体の構成から既に多様な要素を混在させており、互いに異質さを認め合って対応してきたといえます。

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4.目的を評価する

 持続可能な社会に向けて、次第に環境活動見本市の形を取りつつあります。対等なパートナーシップのもとに協働、企業行政などと解決の道を探ろうというつながりが評価されます。環境見本市という方法も、相互に影響を与えながらの保全活動の触媒的役割が評価されます。
 エコメッセちば2003のチラシには、「みんなが作る環境のお祭りです」とあり、千葉神楽太鼓、ロックソーラン演技(NPO法人子どもネット八千代)、着物リフォームファッション(つかいまわし工房あき)、ロックポップ演奏(ベイタウン中年バンド)、花見川自然体験教室とEボート、などがエコステージに参加しています。
 お互いにお客さんではなく、あなたもわたしも"千葉の環境の輪"を作っていく仲間、教育啓発的な側面、創造的な活動、各団体が新たな担い手に出会う機会の創出が評価されます。
これらを総括しますと、1.とにかく、異質な当事者がいっしょにやることだけでも意義がある。2.新しい可能性を見出し、持続可能な社会のための事業を行う可能性が見えてきた。3.そのために環境見本市としての機能を強化し、創造的な活動を生み出す、などといえると思います。

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5.エコメッセの歴史

 当初は自助自立型の環境イベントをつなげる「イベント持ち寄り型イベント」という形で協力の必要性を訴えていましたが、次第に現在のような一つのイベント:環境活動見本市に変わってきました。開催場所は、ずっと幕張新都心です。これまで、千葉県環境財団が事務局として支えてくれていましたが、2002年から市民が運営主体を担うことになりました。

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6.アンケート結果から

 2003年に参加者のアンケート調査を実施しました。主な意見としては、出展者が入れ替わっている。参加者がそれほど伸びていない。パートナーシップについての評価は、今日だけの参加なのでなんともいえないと、現況でいい、とが拮抗していました。
 主な調査項目とその集計結果を紹介しますと次の通りです。
参加者は当日だけという感じで、若い人の参加は20代が7%。
男女比は、女性が6割、男性が4割。
圧倒的に千葉市の人が多かった、これは場所の影響もあると思われます。
初めての参加が、74%と多かった。
通りがかりに見たが35%、特に目的がないが目立った。
 アンケートに記入してくれるのは善意の人で、よくないと思った人は、アンケートを出さない傾向もあると思われます。

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ポスターのデザインについて

 98年はイラストで、地球をイメージしていました。99年になると、同じ人のイラストで里山的になりました。2000年には、もう一度98年のを使っています。2002年には、手書きの細かいイラストになりました。2003年になると経済事情も変わったからでしょうか、イラストのイメージが、がらっと変りました。

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(質疑応答)
2001年までは対等なパートナーシップという表現でしたが、それは良好なという意味とどうでしょうか?
市民と行政が、ほんとに対等はありうるんだろうか、という意見もあって"良好な"という表現になったそうです。
アンケートの質問に、"パートナーシップを感じたという表現の真意は、どういう意味・・・?
中身の感じ方は、それぞれだと思っています。
これからの課題として大きいのは、経済的に独立できるNPOだと思いますが、その点については。
歴史的に見れば、自立性はだんだん高まってきていると思います。どうやってそれを高めていくかは、新しいアイディアが現状につながっていけば、次々と参加者も増えていくと思っています。

小川:環境シンポジウムやエコメッセと千葉県環境財団とのかかわりについて、説明しておきます。千葉県環境財団は、環境学習を推進するにあたり、当初の5年間日本財団から補助金を受けました。それは、それまで福祉の方にウエイトを置いていた日本財団が、環境のほうにも力を注ぐことになったと聞いています。マンガ環境白書をご存知でしょうか?この本はこの予算によって作られました。そして、環境シンポジウム千葉会議もこの予算でスタートしました。
ただ、エコメッセは日本財団の支援を受けていません。エコメッセは千葉県と千葉市のエコメッセ補助金と企業の協賛金で実施しました。この補助金の受け皿として環境財団があったわけです。
当時、行政も市民のネットワークを作りたかったのだと思います。環境パートナーシップちばも行政が仕掛けました。事務局住所は環境財団になっています。
 1年目は、こうした動きに喜んで参加してくれた市民が集ってくれました。5〜6年目になると事情が変ってきました。お金集めを含めて、自立しなければならなくなってきました。行政の人もいい方が揃うと、お互いに協力して枠を乗り越えられる。そうでない方の場合は、市民には行政の形が見えてこないこともあるようです。環境パートナーシップちばも、今では市民の頑張りがはっきり見えるようになってきたと思います。
参加した企業の人たちの感想はどうだったのでしょうか?
企業の人にとって、会場でお客さんの顔が見えるといってくれた人もいます。しかし、どこまでがパートナーシップの理解者かとなると、分かりにくい部分もあります。
小川:以前企業の方に、エコメッセに参加するメリットがあるのかと聞いたら、何もないという返事もありました。ですが、新しい出会いの楽しさ、人間関係のつながりへ、いっしょに集って考える、そうした点を評価してくださって、企業の方も参加していただいているのだと思います。
千葉市内の参加者が多かったということですが、今後、幕張以外でする可能性はどうでしょうか?
各地でやるようにするためには、エコメッセ・マニュアルのようなものも必要になってくるでしょう。参加者を数えるスタッフがいないのですが、今年の目標は、参加者が1万人だそうです。集まった人が楽しむだけでなく、それぞれが自由に活動できるといいと思います。