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 導入展示(第1展示室)・・・館長挨拶と五百澤氏の歩みなど
   
   
027  (拡大パネル) 
ヤマタリ氷河から見たジャヌーとカンチェンジュンガ 
    ごあいさつ
 今回の展示「山の科学画」では、氷河地形研究者であり、鳥瞰図作家として知られる五百澤(いおざわ)智也(ともや)氏(千葉県一宮町在住)の、日本アルプスやヒマラヤの山岳鳥瞰図を、その描き方や地形の解説を加えてダイナミックに紹介します。
 これらは、地形を見る確かな眼と、飛行機から自分で撮影した斜め空中写真を実体視する技術に基づいて描かれており、パソコンで世界中の地形を鳥瞰できるようになった昨今でも、山岳地形・氷河地形の客観的な観察記録として、また臨場感のある絵画として、高く評価されています。
 展示会では、多数の原画をもとに、ほぼその全貌を紹介します。空からしか見えない、絶好のアングルの地形景観を、多くの方々と共有できれば幸いです。
 最後に、展示制作にご協力いただきました多数の方々・機関に深くお礼申し上げます。
平成19年3月3日
千葉県立中央博物館 館長 中村 哲

 
   
写真撮影について

この展覧会の鳥瞰図、スケッチ図、写真等は、五百澤智也氏の提供によるものです。
氏のご好意により、展示会場内でのスナップ写真等の撮影については、ご自由とします。
お世話になった方々・機関(敬称略・順不同):
五百澤智也、五百澤協子  
岩田修二、小野有五、中西健夫、林 達三、庄司 浩、花崎 洋、清水長正、苅谷愛彦、山本信雄、関 秀明、目代邦康、青木賢人、
萩原 孝、岡田隆治、主原岱子、村山雄三、堤 正夫、本領基男、石井良三、店網美智子、新井基永、佐藤信和、尾崎重夫
川井恵美子、玉川恭子、林 和美、上原 恵、
小田島高之、御巫由紀、萩野康則
国土地理院、(財)日本地図センター、日本国際地図学会、(社)日本地図調製業協会、寒冷地形談話会、日本山岳会、ナカニシヤ出版、講談社、岩波書店、東京新聞出版局、山と渓谷社
後援:
国土地理院、(財)日本地図センター、日本国際地図学会、 (社)日本地図調製業協会、
協力:
寒冷地形談話会
展示解説ボランテイア:
岡田隆治、川口嘉世子、松村和幸、石井良三、 村山雄三、主原岱子、店網美智子、三明 弘、堤 正夫、新井基永、佐藤信和、本領基男、萩原 孝、谷村章子、尾崎重夫、三村國光  
 平成18年度春の展示 「山の科学画」 スタッフ

 展示企画  :吉村光敏・八木令子(地学研究科)
 展示スタッフ:地学研究科 岡崎 浩子・高橋 直樹・伊左治鎭司
 031 五百澤智也氏 年譜

1933年 山形県山形市に生まれる
      幼少の頃より山形県内やその周辺の山登りに親しむ
      中〜高校時代は山岳部と美術部で活躍する
      高校3年で初めて、烏帽子〜槍・穂高縦走
1952年 東京教育大学理学部地学科地理学専攻入学
      大学在学中、日本各地の山と岩場に登る
1954年 独標登高会入会
1957年 卒論のテーマは、鹿島槍ヶ岳カクネ里の氷河地形
     大学卒業、建設省地理調査所(1960年に国土地理院と改称)に勤務
     5万分の1地形図の測量、作成に携わる
1962年 槍〜穂高の氷河地形調査を行い、日本地理学会で「槍・穂高連峰の
      最低位堆石堤」について発表
1963年 中央〜南アルプスの氷河地形の調査を行い、日本地理学会で「写真
     判読による日本アルプスの氷河地形」を発表
1970年 国土地理院退職、以後フリーとなり、調査・執筆活動を行う. 
      9月〜11月、第1回 ヒマラヤ行(これ以降ヒマラヤ行は13回を重ねる)
1971年 「岳人」に「The Sky View Sketches over Nepal Himalayas 」の連載を始める
1974年 「岳人」に「氷の山・火の山」シリーズの連載
1976年 「ヒマラヤトレッキング」(山と渓谷社)刊、後に英語、フランス語版刊行
1979年 「氷の山・火の山」シリーズをまとめ「鳥瞰図譜日本アルプス」(講談社)刊行
1983年 「日本アルプスおよびヒマラヤ山脈における氷河地形および地誌の
      研究」により、第19回秩父宮記念学術賞を受賞
1991年 千葉県一宮町に移る
1995年 千葉県立中央博物館企画展「鳥の眼から見た房総半島−鳥瞰図の楽しみ」
      で房総半島の地形を主題にした鳥瞰図作成、展示
2004年 長野県安曇村資料館で展示会「五百澤智也展 山を調べ・山を描く」開催
2007年 「山と氷河の図譜」(ナカニシヤ出版)刊行
 032 近影

大阪府河南町弘川寺、
西行法師の墓所にて
 034 岩壁登攀

甲斐駒摩利支天南山稜
60度以上の斜面を登る(1960年)。
 038 調査で履き潰した山靴 廃棄する前に
035 氷河地形の調査 剣岳内蔵助カールにて
 
036 地形をスケッチ 剣岳内蔵助沢にて
 
037 空中写真撮影のためのフライト 松島基地(1965年)

033 松島基地にて
039  ヒマラヤでの空中写真撮影
041 ステレオ写真撮影用カメラ 

MAMIYA PRESS SUPER 23 6×7版
(2台交互に撮影)
040 ステレオ写真撮影用カメラ 

Nikon F 35mm 一眼レフ。補助的に使用
042 写真撮影時に使用したダウンジャケット
043 撮影手帳 空中写真撮影のマニュアル
051  野外での測量用具類

044 (ペン画) 平板測量で確かめながら作った展望図:ランタン谷南側の山々

出典 山と氷河の図譜(2007)   寸法 903×217mm
045  地図の代わりになる展望図 (ネパールヒマラヤ・ランタン谷南側)  ・・・・044の解説

 1970年から始めたヒマラヤ山脈での調査で、地形図が利用できなかったり、誤った地形図しかない地域では、インド測量局が作成中だった、空中写真測量による1インチ/1マイルの図を基にした平板測量で、山座同定や標高点検をしながら展望図を作成しました。
046  空中写真から鉛筆模写して作った地形図 「ヒマルチュリ 5万分の1地形図」

出典 慶応義塾大学体育会山岳部(1964)登高行]Y  寸法 480×362mm

047  1:50,000多色刷地形図  「ヒマルチュリ」 解説

 1960年5月24日、慶應義塾大学体育会山岳部パーティは、ネパールヒマラヤ中部、マナスル山群に属するヒマルチュリ7864mの登頂に成功しました。
 この地形図は、その報告書に添付するため、登山隊員がインド測量局の空中写真から鉛筆模写した図を基に作成したものです。
 ドイツのインホフ博士の著作「ゲレンデ・ウント・カルテ」の水彩シェーディングの重ね塗りや、フランスとスイスの地形図の岩壁表現などを参考に、多色刷化しています。  (「登高行」XVI 1964年・添付地図)
  資料:大森弘一郎
  制作:五百澤智也・羽田野誠一
  発行:慶應義塾大学体育会山岳部
050  斜めステレオ写真の撮影・実体視判読による、鳥瞰詳細スケッチの作成を考案。・・・・事例 ジュガールヒマラヤ南面の斜め写真と詳細スケッチ

 空からでなくては見えない、絶好のアングルの地形景観を、研究者の共有のデータとするため、斜めのステレオ写真を撮影し、それを実体視判読することによって、鳥瞰詳細スケッチを編み出しました。このやり方で、1971年から73年にかけて、山岳雑誌「岳人」にネパールヒマラヤの鳥瞰図譜を、1974年から77年まで、日本アルプス等の鳥瞰図譜を連載しました。
049  ジュガール・ヒマール展望図  (空中写真コピー)

寸法 365×200mm
048 (047印刷図) 049より作図した、ジュガール・ヒマール展望図

出典 岳人297号(1972)、山と氷河の図譜(2007)  寸法 440×375mm

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