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第2展示室 山岳空中散歩−世界の屋根, ネパールヒマラヤ山域−
ネパールヒマラヤの山岳鳥瞰図
 五百澤氏は、世界一の大山脈と、そこに含まれる険しい峰々が、どんな力でどんな風につくられてきたかを明らかにしたいと考え、その第一歩として、広大で複雑な未知山域を記録していくため、飛行機からネパールヒマラヤ全域の斜め空中写真を撮影し、7回のフライトを行った。
 その写真を実体視判読することで、山や氷河の形態を詳細に描いた図です。
ヒマラヤを飛ぶ
380  山岳空中散歩−世界の屋根、ネパールヒマラヤ山域− 

    アジア大陸の中央に位置するヒマラヤ山脈は、世界最高峰のエヴェレスト山をはじめ、地球上で8千メートルを越える山のほとんどが集まっています。
 ネパールヒマラヤは、このうちのネパール国に含まれる部分の総称で、ヒマラヤ山脈の最も華々しい部分を占めています。
 世界一の大山脈と、そこに含まれる険しい峰々が、どんな力でどんな風につくられてきたかを明らかにしたいと考え、その第一歩として、飛行機からネパールヒマラヤ全域の斜め空中写真を撮影し、広大で複雑な未知山域を記録していきました。
 ここで展示するのは、その写真をもとに描いた山と氷河の記録です。

 東部のカンチェンジュンガ山群、エヴェレスト山群、中央部のランタン〜ガネッシュ山群、マナスル〜アンナプルナ山群、ダウラギリ山群、西部のサイパル〜アピ山群とチベットの山という、6つの山域ごとに紹介していきます。
381  国外の山名について
 国外の地名表記については、本来現地で使われているものを尊重すべきですが、ここでは、日本で普通に使われている地名を使っています。 例えば、世界最高峰のエヴェレストは、チベット名「チョモランマ」、ネパール名「サガルマータ」ですが、一般的な英語名を使っています。 またカタカナ表記に関しては、最新の地図帳にならい、「V」については、「ヴ」を用いています。 ただし最初にエベレストと記載されていた原画などに関しては、そのまま用いており、必ずしも統一されてはいません。
378 (背景拡大パネル) ヤマタリ氷河上空から見たジャヌーとカンチェンジュンガ  寸法 1478×900mm

382 (背景拡大パネル) ネパールヒマラヤ全山展望図  寸法 1536×557mm
383 (ペン画・彩色) ネパールヒマラヤ全山展望図 (原画)

出典  ヒマラヤトレッキング(1976)、 山と氷河の図譜(2007)   寸法 605×240mm
384  ネパールヒマラヤ説明図 (地域区分を加筆)


原画の出典 もっと知りたいネパール(1986)、    寸法 357×152mm
五百澤智也氏作原図(ペン画)に彩色・地域区分注記  原図:五百澤智也  彩色:吉村光敏 地域区分:八木令子
385 (ペン画・彩色) ヒマラヤ山脈全体の地形と河系 ・・・・384を元に再描

 寸法 450×303mm
 この絵は、インド側からヒマラヤ山脈やその背後のチベット高原の方向を描いた鳥瞰図です。ヒマラヤ山脈がチベット高原の南のへりに沿って、屏風のような形をしてそびえているのがわかります。しかし実際には、低地からいきなりこのような山がそびえているのではなく、その前面に、シワリーク(チュリア)丘陵やマハバーラト山脈、中間山地帯(ミッドランド)など、ヒマラヤ山脈に平行した数列の前山山脈が見られます。
 このヒマラヤ山脈を割って、南へ流下するたくさんの河谷があり、西はインダス川に、東はガンジス川に集められています。ガンジス川の支流、コシ、ガンダキ、カルナリ水系などの多くは、ヒマラヤ山脈を横断し、チベット側に水源があります。そのため、ヒマラヤ山脈にもたらされる降水すべてを集めています。(五百澤智也 山と氷河の図譜より)
  387  ヒマラヤを飛ぶ 

 広大なネパールヒマラヤの未知山域を記録するため、厳しい地形、気候条件の下で、ヒマラヤ上空の飛行を何度も行い、ステレオ観察用の斜め空中写真を多数撮影しました。
 1970年と1972年のフライトでは、東部のカンチェンジュンガから、西部山域とその背後のチベットの山々まで、ネパール・ヒマラヤのほぼ全域を半日で観察することができ、この時に撮影した写真を基に描いた鳥瞰スケッチが、「Sky view sketches over Nepal Himalayas」として山岳雑誌に連載されました。


389
間近に見るカンチェンジュンガ山頂


写真提供 小野有五氏
388 ネパールヒマラヤの写真撮影に使った国連の飛行機(ピラタスポーター)。



 五百澤氏(右)が、座席に体を縛って、カメラを機体の外に出して撮影するのだと説明しているところ。
 
 パイロット(左)が、そんなクレイジーな と驚いている。

 (写真提供 小野有五氏)


391
ヒマラヤ飛行写真

間近に見るカンチェンジュンガとヤマタリ氷河

写真提供 小野有五氏
390  1972年のヒマラヤ飛行とスケッチ ルート図


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