第1節 地域の医家の発展  第2節 はやりやまい(天然痘)と人々の闘い
第1節 地域の医家の発展
 日本の医療制度は、蘭学興隆期さらに明治維新を経て大きく発展することになっ た。千葉県は江戸時代に著名な医師が誕生しているところでもある。その要因は、 隣接する江戸に幕府が開かれたこと、さらに、江戸諸大名の影響を受け好学の風が あり、医学教育に関心がもたれ、優れた新しい医術を柔軟に受け入れられる土壌が あったということである。  利根川中流域における医学の発展では、「古河藩の河口信任」の功績が光る。また、 8代200年以上の歴史を持ち地域医療に多大な貢献を現在も続けている「回春堂・永 吉の眼科」の存在も大きい。  更に、地域において蘭学を奨励した佐倉藩である。江戸時代に蘭学が盛んになっ たとき、蘭学の中心として大きな役割を担った。蘭学(洋学)に十分理解のあった 藩主堀田正睦のもと、佐藤泰然は「順天堂」を、ついで尚中は済生精舎を建て、広 く医生を養育した。このように、高野家の活動範囲には、こうした先駆者 が多数あり、大きな影響を受けていたと考えられる。