稚魚って何?

仔魚  一般に、魚の子供のことを「稚魚」と呼びます。今回のマリンサイエンスギャラリーでも、そのような意味でタイトルに使いました。しかし、専門的には、魚の子供は鰭(ひれ)の発達の程度によって、仔魚(しぎょ)と稚魚(ちぎょ)の二つに分けられます。

 大半の魚は卵からうまれ、うまれた直後には背鰭(せびれ)や尾鰭(おびれ)の区別がなく、多くはオタマジャクシのような形をしています(左図上)。仔魚とは、この時期の子供のことをいいます。それぞれの鰭は、この後徐々にできていき、やがてその中に鰭条(きじょう)と呼ばれるスジが現れます。このスジの数が親と同数になった子供が稚魚です(左図中)。

 魚の種類によっては、仔魚から稚魚にかけて、体の形が大きく変化するものがあります。たとえば、両方の目が体の片側についているヒラメやカレイの仲間は、うまれた直後には他の魚と同じように目が体の両側についています。ところが、仔魚の間に一方の目が体の反対側へと移動し、稚魚になるころには親と同じように両方の目が体の片側にある姿へと変化します(写真下)。このような現象は、「変態(へんたい)」と呼ばれています。
仔魚(全長約4mm)
稚魚(全長約13mm)
親(全長約80cm)

マダイの親と子

カレイの稚魚(右)
体の右側

カレイの稚魚(左)
体の左側

左目が頭の上を越え、体の右側に移動しつつあるカレイの仲間
(全長約14mm)


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