ウメノキゴケからスライドグラス上で抽出した地衣成分は,白い粉末状という以外には特徴がありません.
しかし,スライドグラスの上で,短時間で簡単に結晶を作り,顕微鏡で観察することが可能です.
「1.地衣成分って何?」のページで,スライドグラス上で,ウメノキゴケから地衣成分を抽出する様子を紹介しましたが,その地衣成分を使って,結晶を作ります.
6.スライドグラスの下から熱し,少し気泡が出たら止めます.
(※2)急に強い炎で熱すると突沸しカバーグラスごと試料が吹き飛ぶことがあります.普通のアルコールランプの火でも大きすぎます.左の図では,手工芸用の電気ごてを使用しています(文献1).
プレパラートをしばらく静置して,生物顕微鏡で観察します.
7.すぐに,このような結晶が見えました.
観察できる結晶は,地衣類の種類によって異なります.また,同じ地衣成分の結晶であっても,様々な条件によっても,少しずつ違った見え方をすることがあります.次のページ「2-1.様々な地衣類で結晶観察」では,地衣類の幾つかの種を例に,どんな結晶が見られるのかを紹介します.また,「2-2.様々な地衣成分の結晶画像」では,地衣成分ごとに,結晶画像をまとめてあります.