タイプ標本の画像の構成
●当館における地衣類標本の姿

地衣類の標本は,丈夫な紙を折って作った標本パケットに収め,その表に標本データを記したラベルを貼るのが世界的に見ても一般的で,当館でもその形をとっています.詳しくは,以下のリンク先をご覧ください.
「地衣類標本庫の運営」
●当館に収蔵される地衣類のタイプ標本の多くは痂状地衣

地衣類の中でもある程度立体的な,樹状(じゅじょう)地衣と葉状(ようじょう)地衣などの大型地衣は,古くから研究されていて,日本では今ではあまり新種は見つかりません.一方,痂状(かじょう)地衣(別名,小型地衣)と呼ばれる仲間は分類が難しいため,日本で近年見つかっている新種の多くはこの仲間となります.1989年に開館した当館は,まだ比較的歴史が浅いため,収蔵されるタイプ標本の多くは痂状地衣なのです. 

※葉状地衣・樹状地衣・痂状地衣などの説明は,以下のリンク先をご覧ください.

「地衣類って何/地衣類の体のつくり」

●タイプ標本の画像
・このコンテンツで紹介するのは,ラベルを貼った標本パケットの表側ではなく,パケットの中身の画像です.痂状地衣の場合(例えばAgonimia deguchii デグチツブゴケ),パケットの中身は,地衣類が張り付いた岩石片や樹皮片を,台紙に貼り付けた状態です.その写真を「台紙に貼られた標本」として示しています.更に,「実体顕微鏡下の拡大写真」を掲載していますが,これは原則として倍率10倍,20倍,40倍で撮影した写真から構成されています.
・明らかな大型地衣は,Leptogium kiyosumiense キヨスミカワキノリのみですが,このような地衣類は台紙に貼りませんので,パケットの中に置かれた状態,あるいは取り出された状態の,地衣体の写真を,「パケット内の標本」として掲載しています.
・葉状地衣の中でも地衣体が小さいものは鱗片状地衣と呼ばれますが(例えばScleropyrenium japonicum クロミゴケ),当館では,台紙に小さなパケットを貼って,その中に地衣体を収めている場合がほとんどです.
 
(執筆:原田浩,2021)