デジタルミュージアム・特集『日本博覧図』

後編-29 東頭山行元寺境内全図とうとうざんぎょうがんじけいだいぜんず

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旧町村名現市町村名絵師彫師寸法
夷隅郡千町村萩原夷隅郡夷隅町萩原伊藤良横56.7×縦20.3cm
他の博覧図に比べて2倍の大きさに刷られた銅版画で、桜並木などに囲まれた参道の様や大きな伽藍からしても、『君津郡誌(1926)』記載の「境内1598坪天台宗の巨刹たり」の一文が頷ける。ただ、寺伝では現在地の荻原字行元寺谷に移ったのは天正十四年(1586)で、創建は嘉祥二年(849)現大多喜町の山間だとのこと。平安末期中興以来、房総天台宗の中核として、また檀林(学問所)としても発展した。その名残が、図中「東門ノ跡」に立つ立札「中学林」や「明徳学校」などに見てとれる。現在、本堂右手にある客殿は図中の「書院」のことで、行元寺旧書院として県指定文化財となっている。建物内の欄間には、“波の伊八”作で‘北斎名画の原風景’と言われている彫り物がある。また、山門「慈雲閣」も旧観をよく残している。

2005年1月 歴史学研究科