親子バイオ入門実験教室を開催しました

動植物の細胞の観察とDNAの取り出しを行いました

現代産業科学館では珍しい、細胞を見たり、遺伝子をとりだす「親子バイオ入門実験教室」を行いました。この実験教室は、特定非営利法人「くらしとバイオプラザ21」と連携で1年に一度行っているもので、今年も「くらしとバイオプラザ21」から4名の専門の職員の方々に来ていただいて指導していただきました。

初めに、植物と動物の細胞の違いなどについて勉強しました。事前に勉強をされていたのか、先生の質問に的確な回答をするお子さんもおりました。

今回の実験では、植物はタマネギから、動物はヒト(本人)から細胞を採取しました。写真上左のトレーが材料と使用する道具です。写真上右は、DNAを観察に使う材料などです。DNAを取り出したのは、ブロッコリー、トウモロコシ、バナナ、それにトリのひき肉です。

細胞の観察には、顕微鏡を使用しますので、顕微鏡の扱い方も指導していただきました。

まずは、タマネギの細胞の観察です。初めに先生から「こんな感じに薄く、切り取ってください」と説明があり、早速作業がはじまりました。カッターでタマネギの内側の皮を5mm四方ほどに切れ目を入れ、ピンセットで薄皮を剥がしてスライドグラスの上にのせます。そこに、細胞を見やすくするための液体(酢酸オルセイン=赤い液体)を1滴たらします。少し時間をおいて、染み出た液は吸い取り、その上にカバーグラスをのせます。この時の注意は、空気が入らないようにすることだそうです。

早速、完成したスライドを顕微鏡にセットして観察します。顕微鏡でピントを合わせていくと、細胞膜に囲まれた中に赤く染まった核が見られました。その映像に、お子さんたちも感激のようすでした。観察のようすをメモし、写真も撮っていました。顕微鏡の接眼レンズにスマホのカメラのレンズをくっつけて撮影すると、顕微鏡をのぞいた映像を撮ることができますが、普通は本やテレビなどでしか見られないような映像を、自分で作ったスライドで、自分で撮影することができ、さらにスマホで拡大すると顕微鏡をのぞいた時よりも大きく見えるので、驚きと大感激のようでした。これには、お父さん、お母さんの方が驚いていたようです。

次は、動物の細胞の観察です。動物は、ヒト(人間)、自分自身の細胞の観察です。参加のお子さんが口を開いているのは、歯医者さんに診てもらっているのではありません。口の中を綿棒で擦り、口腔粘膜細胞を採取しているのです。採取した細胞は、タマネギの時と同じように、スライドグラスにのせ酢酸オルセインで染色しカバーグラスをします。顕微鏡でのぞいてみると、タマネギほどわかりやすくはなかったようですが、先生方の指導で細胞を観察できることができました。

 

二つ目の実験は、DNAの取り出しです。

こちらも、初めにDNAについて勉強をしてから、実験が始まります。

DNAは、とても小さくて普通の顕微鏡では見ることができないので、たくさん取り出して固まりになったものを観察します。

DNAを取り出す材料の準備から始まります。ブロッコリーは、すりつぶすのが大変なので花芽のところを採取し乳鉢でつぶします。トウモロコシは、おろし金で黄色の実の部分だけをすりおろします。バナナはドロドロになるまでつぶし、トリひき肉はほぐします。

材料が準備できたら、そこに細胞膜を壊すためのDNA抽出液(台所用洗剤と食塩を混合した液体=「くらしとバイオプラザ21」が準備)を大さじ1杯入れゆっくり混ぜます。

少し時間がたったら、お茶やだしを入れるパックに入れて濾します。そして、できた液体をコニカルチューブに移し5ml計ります。いかがですか、このあたりの作業は研究者・科学者といった雰囲気がありませんか。先生からも「この作業を目の高さするところは、シャッターチャンス」とのお言葉です。

5mlの液体は透明カップに移し、消毒用のエタノールを10ml、割りばしを伝わるようにして静かに注ぎます。エタノールを加えるのは、DNAを白い塊として見やすくするためだそうです。早速、メモや写真など、取り出したDNAの記録です。

背景が黒いとDNAの白い塊が見やすいと思います。抽出したDNAを前に記念撮影されるお子さんも。

顕微鏡を使ったこと、自分で作ったスライドの細胞を写真に撮れたこと、名前は聞いたことがあっても見たことがなかったDNAを見られたことなど、少し緊張した実験でしたが、皆さんご満足のようでした。

そして、今回の実験でもお二人の「ちびっこ博士」が誕生しました。

この実験は、現代産業科学館では珍しい実験教室ということもあってか、1か月前の事前受付であっという間に定員に達してしまいました。実験日の前日・当日にもお問い合わせがありましたが、キャンセル待ちの方々も含め参加していただけなかった方には申し訳ありませんでした。

「くらしとバイオプラザ21」の先生方の登場は、次回は10月6日(日)に「キッチンサイエンス」で「カラーマジックケーキをつくろう」を行います。参加してみませんか。