第1節 鷹見泉石  第2節 赤松宗旦  第3節 鈴木南嶺・大西椿年

 第3節 鈴木南嶺・大西椿年(絵師)

椿年大黒図

 椿年は、江戸時代後期の日本画家である。徳川幕 府米倉の役人で、浅草蔵前に住み、特に亀を題材とした絵は妨手とされた。高野家には、椿年の名が遺る作品は3点ある。

  「鳳梧」という雅号を持っており、高野家からは多数の「絵」が発見されている。ただ単に、絵が好きだったとはいえず、医師として患者の状態を診るがままに書き留めたり、後の研究材料のために記録しようとすることは必要なことである。「鳳梧」が遺した(現存している)作品には、残念ながら、人体の一部を書き残しているものはない。今後、追求して行きたい材料の一つである。
  いずれにしても、鳳梧が「画」を好んだ事は、利根川図志からも遺された絵から も紛れもない事実であり、落款から判断して、鈴木南嶺や大西椿年らと交流し、練習に明け暮れた日々を送っていたと考えられる。

・大西椿年…天明元年(1781)〜嘉永4年(1851)
      …名は行之助、字は天壽・楚南。雅号椿年・運霞堂