地衣成分のなかには，紫外線を照射すると蛍光を発するものがあります．体の表面近くにその地衣成分があると，その地衣類自体も紫外線照射により蛍光を発することになります．地衣成分を抽出する必要もないし，試薬で標本を傷めたり汚したりする恐れがないので，特徴的な蛍光を発する地衣成分を含む種を判別する場合には，紫外線照射はとても効率的な方法なのです．

　この方法を，「原色日本地衣植物図鑑」（吉村1974）などでは，紫外線照射法と呼んでいましたが，最近ではUVテストということが多いようです．

　短波長の紫外線を照射できる，ハンディ―タイプの装置を使用します．暗い場所でないと観察できないので，暗室のような部屋か，暗幕を張ってそのような空間を作る必要があります．

　※有害な光線ですので，目に入らないようにするのはもちろんのこと，肌に照射しないように気を付けます．

具体的な観察例については，以下のページをご覧ください．

　→「2-1．様々な地衣類で結晶観察」

　→「2-2．様々な地衣成分の結晶画像」