日光の地衣類図鑑
1-4.グループごと
「1-1.学名のアルファベット順」で示した日光の地衣類図鑑に掲載された種について,グループごとにまとめて写真で紹介します.このグループは,必ずしも科に一致するわけではありません.科を幾つかに分けたり,逆に幾つかの科にまたがる似た種をまとめたグループだったりします.また,ここに掲載する写真は,1種につき3枚までです.なお,それぞれの種の説明については,「1-1.学名のアルファベット順」の図鑑をごらんください.
樹状地衣
   

diffracta

ホネキノリ属などのウメノキゴケ科

ほとんどは木の幹や枝に着生し,細長く,長く成長すると垂れ下がります.少し黄色っぽい種と,茶色っぽい種とがあります.以下の属を含みます.Alectoria ホネキノリ属,Bryocaulon シダレキノリ属,Bryoria ハリガネキノリ属,Oropogon ミヤマクグラ属,Usnea サルオガセ属

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ramalina
カラタチゴケ属(カラタチゴケ科)

木の幹や枝に着生し,よく枝分かれをして,ほとんど直立します.少し黄色っぽい仲間です.

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ph
ハナゴケ属(ハナゴケ科)

地上に生えるものが多く,倒木や木の根元などに生えるものもあります.よく枝分かれをする種,ほとんど分かれない種,ラッパ状の種もあります.ストローのように中は中空になっています.

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ph
キゴケ属

ほとんどが岩上に生えます.基本葉体は顆粒状などの痂状で,そこから伸びる樹状の擬子柄は,ハナゴケ属の中空と違って木質のように固いので簡単に区別できます.擬子柄の表面には,細かな棘枝という細かな突起(ほとんどが灰白色)で覆われます.

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ph
カムリゴケ属・センニンゴケ属など

岩上に生えるものが多く,地上に生えるものもあります.基本葉体は痂状で,そこから,ほとんど分枝しない樹状の子柄が伸びます.

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cetraria
エイランタイ属(ウメノキゴケ科)

高山の地上に生えます.体の造りは葉状ですが,立ち上がっているため,樹状と見えなくはありません.

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multiclavula
担子地衣

日本でも数少ない担子菌の地衣です.奥日光では,Multiclavula mucida キリタケだけが確認されています.この種は,森林内の,朽ち木や土に埋もれた岩の上などに生えます.

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葉状地衣
   

lobaria

カブトゴケ科

ヘラガタカブトゴケのように大きくなる種もあります.エビラゴケ類はウメノキゴケ科に似ているので注意しましょう.以下の属を含みます.Lobaria カブトゴケ属,Sticta ヨロイゴケ属.

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peltigera
ツメゴケ属(ツメゴケ科)

主に地上に生え,ブナ林や針葉樹林では,大きくなる種が多いのが普通ですが,奥日光ではそのような種はあまり見られません.ここに掲載する2種はいずれもラン藻を共生藻としますが,次のイワノリ属などとは違って白い髄層があり,裏側が網目状に出っ張っています.

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collema
イワノリ属などのラン藻地衣

湿った場所を好み,木の幹や岩の上に生えます.ラン藻を共生藻として,黒っぽく,地衣体は薄手で,白い髄層はありません.乾燥時に,Collema イワノリ属は緑がかっている場合が多いのに対し,Leptogium アオキノリ属は青みがかっている種もあります.

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coccocarpia
その他のラン藻地衣

多くは木の幹や枝に着生します.ラン藻を共生藻としますが,イワノリ属とは違って白い髄層があります.裏側には網目状の出っ張りはなく,だいたいは淡色ですが,暗色の偽根に覆われることもあります.以下の属を含みます.Coccocarpia カワラゴケ属(カワラゴケ科),Nephroma ウラミゴケ属(ウラミゴケ科)

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hypogymnia
フクロゴケ属とセンシゴケ属(ウメノキゴケ科)
いずれも木の幹や枝に着生します.亜高山帯の針葉樹の枝先につくことも多い仲間です.裂片が膨れていて,中が空洞となっている種がほとんどです.Hypogymnia フクロゴケ属は裂片の腹面に丸い孔がありますが,センシゴケ属は背面に丸い孔があります.フクロゴケ属の一部の種は,裂片があまり膨れません.

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nephromopsis
アワビゴケ類(ウメノキゴケ科)

主に木の幹や枝に着生します.裂片は幅広い種が多く,やや黄色を帯びるか,褐色を帯びます.腹面は褐色から淡褐色(あるいは淡色)で,偽根は比較的まばらです.縁に黒い刺状突起をつけたり,長い偽根をつけるものもあります.以下の属を含みます.Nephromopsis アワビゴケ属,Tuckermannopsis ヒゲアワビゴケ属,Tuckneraria ウスカワゴケ属

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cetrelia
トコブシゴケ属とウスバトコブシゴケ属(ウメノキゴケ科)

木の幹や枝に着生することが多いですが,岩上にも生育します.裂片が大きく丸く,背面には白点があります.腹面は暗褐色からほぼ黒色で,偽根がまばらにつきます.以下の属を含みます.Cetrelia トコブシゴケ属と Platismatia ウスバトコブシゴケ属

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myelochroa
広義ウメノキゴケ属など(ウメノキゴケ科)

広義のウメノキゴケ属(保育社刊「原色日本地衣植物図鑑」における Parmelia)と,広義ゴヘイゴケ属(「原色日本地衣植物図鑑」の Parmeliopsis)です.地衣体は薄手で,腹面は多くの種で中央部が黒く,周囲では褐色,一般に短めの偽根を密生します.以下の属を含みます.広義ウメノキゴケ属:Melanelia オリーブゴケ属,Myelochroa ウチキウメノキゴケ属,Parmelia カラクサゴケ属.広義ゴヘイゴケ属:Imshaugia ゴヘイゴケ属

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heterodermia
広義ムカデゴケ科
広義のムカデゴケ科の葉状地衣です.裂片は狭く,細長いものばかりです.Heterodermia ゲジゲジゴケ属は灰白色,Anaptychia ヒメゲジゲジゴケ属は緑褐色,Phaeophyscia クロウラムカデゴケ属は主に灰緑色.Physconia ハクフンゴケ属は緑褐色ですが,ときに多量の白い粉霜をつけることもあります.

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痂状地衣
   

mycoblastus

さまざまな痂状地衣

地衣体が痂状のものを集めました.とても多様な仲間が含まれます.子器の形に注目すると,仲間分けが分かってきます.

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