「日本の地衣類(ウェブ図鑑)」のサブコンテンツ
 
日光の地衣類

千葉県から日光を訪れると,地衣類の種類の違いに驚かされます.それもそのはず,千葉県は一番高いところでも標高408mしかないのに対して,日光東照宮前の神橋でさえ592m,いろは坂を登って奥日光の入り口,中禅寺湖までいくと標高1268m,さらに進んで戦場ヶ原は約1390mもありますから.

千葉県では暖温帯の地衣類を観察できますが,日光,特に奥日光ではこれと違って,山地帯(冷温帯)から亜高山帯の地衣類が生育しています.また白根山まで足を延ばせば,高山性の地衣類を見ることもできます.

americana

カラマツに着生するヒゲアワビゴケ/ Tuckermannopsis americana

diffracta

pseudobaeomyces pleurota
樹幹に生えるヨコワサルオガセ/ Usnea diffracta 岩上のオオセンニンゴケ/ Pseudobaeomyces pachycarpus 地上に生えるアカミゴケ/ Cladonia pleurota
日光の場所

日光周辺(右図,星印)は,自然環境が豊かなことで知られますが,東京から近いこともあって古くから植物学者の興味を引いてきました.地衣類についてもそれは同様で,多くの研究者や採集家が訪れ,日本の山地の地衣類の多様性解明における重要な役割を果たした場所でした.観光地として整備された現在でも,交通のアクセスが良いため,地衣類の観察にも適した場所となっています.

 

右の地図は,国土地理院の電子地形図(タイル)に県境と星印を追記して掲載.

 

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日光付近

 

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この地図は,国土地理院の電子地形図(タイル)に地点番号を追記して掲載.

地衣類を観察するには,東照宮(①)を過ぎ,いろは坂(②)を登った先の,奥日光に行きましょう.中禅寺湖(③,標高1268m)の湖畔の木々にはキウメノキゴケが目立ちます.さらに進んで戦場ヶ原(④,標高約1390m)の周辺では,カラマツやミズナラに冷温帯から亜高山帯の様々な地衣類を観察できます.湿原のズミの枝にも様々な地衣類が着生しています.湯ノ湖(⑤,1480m)付近や,刈込湖・切込湖(⑥,1616m)まで山道をたどると標高も高くなり,さらに亜高山帯らしくなってきます.白根山(⑦,2678m)やその近くの五色沼(2170m)の周辺では,ハイマツの低木林が現れ,高山の景観になります.地上には,様々なハナゴケの仲間やエイランタイなどが見られます.

 
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