「日本の地衣類(ウェブ図鑑)」のサブコンテンツ
 
上田市(長野県)の地衣類
上田市はどんな場所?

内陸に位置する長野県は南北に長細い県ですが,そのおよそ中央に位置する松本市の東に接する上田市は,北東に伸び,その先は浅間山を含む山塊の西側に達し群馬県と接しています.

(●)上田市の位置は

 上田市の中央には東から西に千曲川が横切り,市域としてはこの付近で最も標高が低く420mほどとなっています.その北側の河岸段丘上には,上田城跡を中心とする市街地が広がり,その奥の神川,更にその支流の洗馬(せば)川に沿ってに進むと標高1200~1300mの菅平高原が広がり,その北東端には市内で最も標高の高い四阿(あずまや)山(2354m)がそびえます.一方,千曲川の南側には,「塩田平(しおただいら)」(右の付近)と呼ばれる,傾斜が緩く広い谷が標高500m程度まで広がり,主に水田として利用されています.その先は山地が広がり,千曲川の幾つかの支流が深い谷を刻んでいます.その先の松本市との境が稜線を形成していて,北の方では標高約1400m,南に向かって徐々に高くなり,南端付近の美ヶ原周辺では約2000mに達します.

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上田市の範囲を赤線で囲んだ.青いメッシュは二次メッシュ(10キロメッシュ).地図をクリックすると大きな地図が現れます
地理院地図(電子国土Web)の標準地図に地域メッシュを表示した地図を使用して作図
上田市における地衣類調査
(●)長野県における地衣類調査

 長野県に住む松崎務は,地衣類に興味を持ち,目にする地衣類の名前を知りたいと考えました.そこで,原田と相談して,市民研究員として地衣類相を調べながら学んでいくことにしました.研究テーマは,「長野県上田市の地衣類相」です.

 上田市は面積が広いため,全域を網羅的に調査することは困難です.そこで,ごく狭い範囲を調査地点に選び,出現する全種を網羅するような調査を実施し,徐々に地点数を増やしていき,結果として全体の様子を解明していくという方針をとりました.ただし,同定が難しい痂状(かじょう)地衣を除く,葉状(ようじょう)地衣と樹状(じゅじょう)地衣に絞ることにしました.

 調査は,千曲川よりも南の,「塩田平」(上の地図ののあたり)とその南の「独鈷山(とっこさん)」の山系,更に,それよりも標高が高い「武石(たけし)峠」付近を加え調べていきました.その範囲を,右の地図の 青線 で囲んで示します.

 本コンテンツでは,この範囲で見られた地衣類(葉状地衣と樹状地衣)を,図鑑としてまとめていきます.

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上田市の範囲を赤線で囲んだ.青いメッシュは二次メッシュ(10キロメッシュ).地図をクリックすると大きな地図が現れます
地理院地図(電子国土Web)の標準地図に地域メッシュを表示した地図を使用して作図
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「塩田平」と周辺地域を北東から望む

塩田平と周辺地域の地衣類

塩田平は標高450~550m弱の開けた平地で,暖温帯の最上部にあたります.その南側を縁取る山系の最高峰の独鈷山(とっこさん)は1266mに達し,冷温帯の中部となります.更に少し南に離れた調査地の武石峠(たけしとうげ)付近では,1800mを超える地点もあって,冷温帯の上部から亜高山帯の最下部にまで至ります.つまり,この地域は暖温帯の最上部から,冷温帯のほぼ全域までをカバーすることになります.

 

 地衣類相はどうでしょう?独鈷山系と武石峠では,やはり,冷温帯の地衣類が見られると言って良いようです.一方,塩田平には,ウメノキゴケなどの暖温帯の要素が,普通に生育していることが分かりました.

 

 この地域で松崎が調査をするなかで,松崎は写真を撮影し,それを標本として収集しました.こうして撮影した写真が,本コンテンツの図鑑を構成しています.また,その標本を,原田等が館内で撮影した写真もこれに加えています.

shirage

shinano

シラゲムカデゴケ Phaeophyscia hirtuosa シナノゴケ Parmelia shinanoana
 
●本コンテンツ「上田市(長野県)の地衣類」と著作権について