雲南の地衣類Lichens of Yunnan, China
7.雲南の自然,人々
 

(1).雲南の植物,花

(2).多様な少数民族

(3).土地の利用

(4).市場

(5).道端の物売り

(6).朝食は米の麺で

(7).昼食・夕食と食材

(8).普洱茶と茶馬古道

(3)土地の利用

 雲南省は日本よりも少し広く,しかも氷河を抱く高山から亜熱帯まであるだけに,地域によって自然環境は大きく異なりますが,植生は,人の影響がある場所が多いように感じます.雲南省は農業が盛んな場所としても知られるように,耕作可能な場所はどこでも農地になっていたり,放牧地として利用されているようです.

 ここでは,調査旅行中に特に印象に残った,土地の利用状況について紹介します.

 

 
梯田.=棚田

 雲南省は,北西部や,山岳地帯を除くとほとんどが稲作地帯です.広大な平地の水田もありますが,特に南部では各地に棚田が営まれています.特に有名なのが,世界文化遺産に指定された「紅河ハニ族棚田群の文化的景観」の地域に見られます.ウェブサイト「World Heritage Online 世界遺産を学ぶ」(2025年9月27日閲覧)によると,「8世紀から1300年かけて培ってきた独自の灌漑技術と農法によって維持されてきた」とされています.

 雲南省では全般に言えることではありますが,山の上は霧が良くかかり水が豊富ですが,谷に近い方では暑く乾燥していることが多く,特にこの地域では顕著で,斜面の下部は畑に,上部に水田が作られます.そこは急斜面で標高差が大きいため,世界最大とも言われる巨大な棚田群が形成されているのです.雲南省では,棚田を,梯田と呼んでいます.

 その中心となるのが,元陽(げんよう.イェンヤン)です.2005年1月に原田が訪れたときは,そろそろ田植えの季節のはずでしたが,例年にない大寒波に襲われ,濃霧のため梯田を見るための展望台からは真っ白な霧しかり見ることができませんでした.この世界遺産の棚田をご覧になりたい場合には,ウェブ上で「雲南省 棚田」のキーワードで検索してみてください.

 核心部分を見ることはできませんでしたが,その周囲や,別の地点では多くの棚田を見つけましたので,紹介します.

 
梯田: 元陽周辺.2005年1月
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元陽の有名な棚田を見る展望台から遠くない地点.

もう少し離れた地点.

左の写真の右手.
 
梯田: 新平から哀牢山周辺にかけて.2009年2月
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谷底に近い,なだらかな棚田

 

 
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上の地点から山を越えた谷.

 

 
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上の地点から山を越えた谷.

 

 
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ここもなだらかな棚田.

 

 
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やや急な棚田.

 

 
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冬.水田の裏作として野菜が栽培されている.

 

 
 
南部・南西部の段々畑

 プーアル茶の「プーアル」は,雲南省南西部の街,「普洱」のこと.茶の原産地と言われ,南西部の山の上は霧がかかりやすく良質の茶が取れるという.

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景東から昌寧に向かう間の山中.青白いのは麦か?2005年.

 

 
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哀牢山.2009年.

天空の集落?

急な斜面は,幅の狭い段々畑に.
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大理南方の山中.2009年.

 

 
 
急斜面の畑

 西部を流れる怒江沿いを訪れたとき(2003年)のこと.この地域では平らな土地はごく限られており,急な傾斜の斜面上部がトウモロコシ畑として利用されていた.

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斜面上部がトウモロコシ畑.

 

耕作が限界と見えるほど急な斜面まで利用されている.
 
茶の栽培

 プーアル茶の「プーアル」は,雲南省南西部の街,「普洱」のこと.茶の原産地と言われ,南西部の山の上は霧がかかりやすく良質の茶が取れるといいます.

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日本式の管理方法が導入され,日本の茶畑にそっくり.普洱近く.2009年.

 

 
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無量山.2005年.伝統的な栽培方法らしい.

 

 
 
平地の水田

 雲貴高原には広い平地が各所にあり,水田が営まれています.

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大理~楚雄.2007年.

楚雄~昆明.2007年.

昆明~大理.1994年.
 
菜の花畑:水田の裏作

 2009年に訪問した2月は,ちょうど菜の花の季節でした.菜種油を採るために,各地で水田の裏作として栽培されていました.

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ソラマメ.楚雄.
 
北西部: ヤクの放牧

 雲南北西部の標高3000mを超える山岳地帯には,多くのチベット族が住み,ヤクを放牧しています.

 その中心都市が,かつては中甸(ちゅうでん.ジョンディアン)と呼ばれていましたが,とある映画で有名になった地名,香格里拉(シャングリラ)に改名されました.

 ヤクの放牧地の草原には,背の高い草が残されています.それらは,ヤクが食べない有毒(あるいは美味しくない)の植物とされます.Irisアヤメ属,Gentianaリンドウ属,Euphorbiaトウダイグサ属などです.

 

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香格里拉郊外.2006年.

店内.

狭い厨房.
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香格里拉郊外のナーパーハイ.夏は湿地となり,ヤクにとって重要な草地となる.2006年.

香格里拉郊外の天宝山の麓の小さな盆地.

ここもヤクが放牧されている.
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ヤクが食べないIrisアヤメ属.天宝山,2007年.

ヤクが食べないリンドウ属.Gentiana sino-ornata.離地坪,2007年.

ここもヤクが放牧ヤクが食べないEuphorbiaトウダイグサ属.
 
北西部以外: ヤギの放牧

 雲南北西部ではヤクが放牧されますが,その他の標高の低い地域では,別の家畜が飼われています.特に,山の中などで放牧される機会が多いのはヤギのようです.森林内を調査していると,下生えが少ない場所では,決まってヤギの粉芽落ちています.また,そのような場所の稜線付近には芝生のような場所が見つかることがありますが,これもヤギの仕業です.

 

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集落から遠くない丘陵の縁で,

ヤギを追う人たちと会った.

雲南省西部,2007年.

 

 
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下生えがない森林.おそらくヤギに食べられ

なくなった.哀牢山,2009年.

その近くの稜線.ヤギの放牧で草地化している..

 
 
何部のゴム園

 雲南省の南部は,ゴムの栽培が盛んです.特に南西部の亜熱帯地域では,かつては密林に覆われていた山地が,1960年代~1970年代に,盛んに伐採され,次第にゴム園に変えられていったとされます.

 

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西双版納(シーサンパンナ),2009年.

若いゴムの木.間にパイナップルが植えられている.西双版納(シーサンパンナ),2009年.

このように至る所がゴム園となっている.

.西双版納(シーサンパンナ),2009年.