雲南の地衣類Lichens of Yunnan, China
7.雲南の自然,人々
 

(1).雲南の植物,花

(2).多様な少数民族

(3).土地の利用

(4).市場

(5).道端の物売り

(6).朝食は米の麺で

(7).昼食・夕食と食材

(8).普洱茶と茶馬古道

(8)普洱(プーアル)茶と茶馬古道

 雲南省は茶の原産地とも考えられていて,省の南西部では古くから茶が栽培されていたようです.このことは日本ではそれほど知られていませんが,普洱(プーアル)茶という名を聞いたことがある方は多いでしょう.普洱茶は,深く発酵した「古茶」の一種ですが,雲南の人が必ずしもそのような茶を好んでいるわけではなく,雲南では緑茶が最もよく飲まれています.事実,地方の食堂に行くと,緑茶が必ず出てきます.

 では,どうして普洱茶が古茶なのか,それは,「茶馬古道」と深く関係しています.

 
茶馬古道: 茶は雲南からチベット,そして長安(西安)へ
 雲南省北西部山岳地帯にも住むチベット族は,馬を使って荷物を運び各地と交易をしていました.雲南省の南部,普洱を中心とした茶の産地からは,古くから茶を運んでいたことが知られています.雲南省北西部は険しい山脈と大河が南北に並走していますが,古くから交易路が築かれ,馬を連れたチベット族が雲南南部との行き来をしていたとされています.その交易路が「茶馬古道」と呼ばれています.

 茶はチベットでも消費されますが,さらに当時の都の長安(今の西安)にも運ばれていきました.都では,茶だけでなく,馬も重要な交易品となったのです.茶を馬で運び,また馬を運ぶ道ということで,「茶馬古道」とされるわけです.雲南省内の主なルートを,右の地図に示しました.

tenji
 
雲南では緑茶

 雲南では,一般的には緑茶が飲まれています.食堂で最も普通に見られるのは,コップに茶葉を入れて,お湯を注いだものです.下の写真はそれを千葉で再現したもので,雲南の緑茶を使用しています.浮いてくる茶葉は,口でよけながら飲みます.終わったら湯を再び注ぐということを繰りかえします.家庭などでは,コップではなく,深い湯のみや,マグカップが使われることが多いようですが,淹れ方は同じです.

ph ph ph

コップに茶葉を入れて・・・

熱湯を注ぎ・・・

出来上がり
ph ph ph ph

リング状の緑茶の茶葉

あとは同じ

淹れたて やがて葉が広がる

 

雲南の緑茶の茶葉には様々な形があります.上の列のように,おおよそ葉ごとにばらばらで細長くやや曲がっているもの,またやや丸っこく固めた(でこぼこしている)ものです.さらに下の列のように,輪になったもの,らせんにしたものなど,形からも楽しめます.

 

雲南の緑茶が,茶葉古道を通って普洱茶に変わる

 雲南では,地元で消費する緑茶以外に,交易用のお茶もたくさん生産されています.交易用の茶は,生産過程の蒸す段階で決まった形にして,非常に重い重石をして固めて作ります.この段階では,固められた緑茶です.

 その形としてよくあるのが,大きな平たい丸餅のような,「餅茶(へいちゃ.ビンチャ)」です.

 もう一つは,だいたい半球形で,片方が窪んだのが「沱茶(だちゃ.トゥオチャ)」です.

いずれも,コンパクトに仕上げられ,運搬に適しています.これをチベット族の人々が,馬でチベットまで運び,それからまた,長安(西安)まで運ぶわけです.普洱から雲南省を出るだけでも直線距離で約600kmあり,馬で運ぶには2週間はかかるでしょう.更にチベット,長安までは2000kmを超えるので2ケ月ほどかかることになります.この間に,緑茶は発酵して,我々が知る「普洱茶」のような古茶になるのだそうです.また,これらの茶は保存のために作られたものなので,都についてからすぐに消費されてしまうわけではなく,時間をかけて消費されたことでしょう.これによって発酵は更に進みます.

 中国茶はその発酵の度合いにより,緑茶,白茶,紅茶,黒茶と分類されることがあるようです.雲南では,緑茶だけでなく白茶も利用されます.そして,いわゆる「普洱茶」は黒茶とも言えるそうです.

ph ph ph

コップに茶葉を入れて・・・

熱湯を注ぎ,いったん湯だけ捨てて,

再び熱湯を注ぎ・・・

出来上がり

 

普洱茶の淹れ方.沱茶や餅茶をナイフなどで削って粉にしてコップなどに入れ,熱湯を注ぎ,すぐに湯を捨てます.

再び熱湯を注ぎ,飲みます.終わったら何度か湯を継ぎ足して飲むようです.

 
餅茶と沱茶

餅茶(へいちゃ.ビンチャ)

ph ph  

A

B

 

沱茶(だちゃ.トゥオチャ)

ph ph ph

A.

B.Aの裏側.窪んでいる.

C.紙箱(右)に,紙で包んだ沱茶(左)が入れてある.
 
昆明(こんめい.クンミン)の茶交易市場など

 昆明の人々が家庭で消費する茶は,茶交易市場などで購入することが多いようです.

 

ph ph ph

昆明市内の「雲南普洱茶交易市場」の

入口.2007年10月11日.

牛(ニュウ)さんに案内してもらった.

多くの店が並ぶ.
ph ph ph

 

 

 
ph ph ph

左の竹のかごの中にも茶が入っている.

茶で作ったカボチャ形の置物.

様々な茶葉が量り売りされている.
ph ph ph

2014年4月14日,同じ交易市場を,

王さんに案内してもらった.

王さん行きつけのお茶屋さん.

壁に並べられているのは,多少とも値段のする古茶.
ph ph ph

 

 

多く売れるのは,箱入りで平置きされている.

ph ph ph

一部の古茶は,試飲に用いられたようだ.

 

 

ph ph  

2種類の茶葉.

左は「満堂香」,右は「碧螺春」.

試飲させてもらった.

 

ph ph ph

さらに遡り,2005年1月11日,同じ店に王さんと訪れていた.手前の丸いのは「沱茶(だちゃ.トゥオチャ),奥は量り売りの緑茶か.

店先の,袋入りの緑茶.

王さんが,手に取ってみる.

ph ph ph

「金馬坊旅游文化市場」を

牛(ニュウ)さんに案内してもらった.

観光客向けのお土産屋さんがならび,

お茶屋さんもある.

緑茶だけでなく,薔薇茶(下段)や雪茶・紅雪茶なども売られている.

ph ph ph

紅雪茶と雪茶(いずれも地衣類の

お茶).

漢方薬か?下のビン入りは,三七茶.

手前の「天馬」は鍋にいれることもある.

奥は「三七人参(田七人参)」.

 
普洱周辺の茶栽培

 

ph ph ph

茶樹の間に,背の高い木を植えた茶園.

2015年11月14日.

木の数はかなり多い. 日本の茶よりも葉が大きい.
ph ph ph

「景邁山古茶林」.2015年11月14日.後に世界文化遺産となる.

 

大きな木に囲まれている. D.茶樹も2~3m程度(あるいはそれ以上)の高さがある.背の高い茶樹は,梯子をかけて茶摘みをするらしい.
ph ph ph
普洱より北,哀牢山の茶園.伝統的な栽培方法らしい.2005年9月20日. 背の高さほどに伸びると,幹を切るとのこと.  
ph ph ph
普洱から南へ向かう途中.日本式の機械化された茶園.2009年2月7日.

静岡県辺りにありそうな景色だが・・・

防霜ファンがないのが違うか.

少しだけ,木が植えられているところは日本とは違う.
 
その他の茶

 (1) 苦丁茶(くていちゃ.グーティンチャ).モチノキ属のタラヨウ(Ilex latifolia)の葉を茶にした,とても苦い茶です.茶葉としては,下のように針状にしたものや,丸く固めたものなど様々な形があります.

ph ph ph ph

コップに茶葉を入れて・・・

熱湯を注ぎ

出来上がり やがて葉が広がる

 (2)青山緑水(せいざんりょくすい.チンシャンリュウシュイ).イボタノキ属,トウネズミモチの仲間(Ligustrum)の葉を茶にした茶です.苦丁茶の一種に数えられることもありますが,苦さは弱く,甘苦い味は夏向きです.茶の色もきれいな緑色で涼しげです.

ph ph ph

コップに茶葉を入れて・・・

熱湯を注ぎ

きれいな緑色