はじめに


  イソギンチャクという名前は、その名の通り「磯の巾着(きんちゃく)」です。子どもの頃の磯遊びで、イソギンチャクを指でつついてまわり、水を吐き出しながら巾着のようにすぼむ様子を見た、という経験をお持ちの方も少なくないと思います。そんなこともあってか、多くの人の持つイソギンチャクのイメージは、やはり「磯で岩にじっとはりついている地味な生きもの」というところだと思います。「イソギンチャクが大好き!」なんていう人にはあまりお目にかかりません。そもそも,その名前の「磯巾着」、なんだか魅力的ではありませんね。しかし「巾着」ならまだよい方で,地方によっては「肛門」!に由来する名前で呼ばれていることさえあります。なんだかイソギンチャクはかわいそうな扱いです。ただし,これは日本でのお話。英語でイソギンチャクは、「Seaanemone (シーアネモネ)」、まさに海に咲く花のイメージです。実際、博物学全盛の19世紀中頃のヨーロッパでは、一大イソギンチャクブームが巻起こりました。美しいイソギンチャクやめずらしいイソギンチャクを飼うことが、当時の社交界における「ステータス」だったようです。すでにその時代に、イソギンチャクのカラー図鑑が出版されているほどの人気ぶりです。その後,イギリスでは,20世紀に入っても、イソギンチャクだけを対象とした本が数冊出版されています。イソギンチャクはたいした人気ものではありませんか。

Gosse (1860) 表紙
1860に出版されたGosse著“A History of the British Sea-anemone and Corals”の中表紙


 このページでは、そんなイソギンチャクたちの魅力をたっぷりとお伝えしたいと思います。是非、「イソギンチャクワールド」をのぞいてみて下さい。


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イソギンチャクはどんな生きものの仲間?
イソギンチャクの体のつくり
イソギンチャクの武器「刺胞(しほう)」
イソギンチャクの繁殖
イソギンチャクは動く?
イソギンチャクと他の生きものとの関わり
イソギンチャクと人との関わり
千葉県で見られる主なイソギンチャク