イソギンチャクの武器「刺胞」
イソギンチャクの属する刺胞動物門は,「刺胞」を持っているグループを意味します。この刺胞とは,餌をとらえたり,身を守ったりする際に使用され,この動物の仲間にとって,なくてはならない非常に重要なものです。これは,刺胞細胞によってつくられる細胞内器官で,カプセル状の構造をしています。カプセルの大きさはだいたい10-100umと非常に小さく,肉眼では見えません。このカプセルの中には,毒液と管状の刺糸とよばれるものがコイル状に折りたたまれています。なんらかの刺激を受けると,この刺糸が反転して翻出し,相手(餌や敵)にカプセル内の毒を注入しますが,刺胞のタイプによっては単に巻き付くだけものものなどもあります。刺胞はその形状から大きく20タイプほどに分類されていおり,どのタイプの刺胞を持つかは,分類群によって,また,体の部位によって異なっています。
刺胞は,非常に小さい上にその構造も著しく複雑なことから,生物のつくる精巧な構造物の極致といわれています。
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発射前の刺胞 |
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発射後の刺胞 |
イソギンチャク1個体が持っている刺胞 |
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イソギンチャクは体の各部にそれぞれ複数種類の刺胞を持つのが一般的です。上の写真でTは触手、Aはアクロラジ、Cは体壁、Pは口道、Fは隔膜糸に入っている刺胞を示しています。 |
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