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さて、話をもとにもどしましょう。他にも、その動きから、イソギンチャクの攻撃的な一面をみることがあります。さきほども述べましたが、イソギンチャクの中にはクローンをつくる種類があります。実はこのようなイソギンチャクには、自分のクローン仲間とそれ以外を見分けることができるものがいるようです。このような仲間では、他の個体が近づいてくると、徹底的にその個体を攻撃して追い払う、という行動を見せます。ウメボシイソギンチャクの仲間や、ベリルイソギンチャクの仲間では、アクロラジという器官を使って、相手を攻撃します(下図左上)。このアクロラジの中には、攻撃用の特殊な刺胞が無数に入っています(下図下)。普段は小さな膨らみなのが、攻撃時にはそこを膨らませ、相手に押しつけ、刺胞を発射させるのです。狭い水槽内でほっておくと、どちらかが死んでしまうまで攻撃は続きます。また,タテジマイソギンチャクの仲間では、これに代わるものとして、キャッチ触手があります。この触手は、攻撃時には著しく伸長して相手を攻撃します(下図右上)。この触手には、やはり通常の触手とは別の攻撃用の刺胞が入っています。条件の良い「土地」を守るのも命がけ、というわけです。
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アクロラジを伸張させてるベリルイソギンチャク | キャッチ触手をうち振るタテジマイソギンチャク | |
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アクロラジの表面の電子顕微鏡写真です。矢印は刺胞の上面を指しています。 | 左の部分の断面を見たところです。刺胞が無数に並んでいるのがわかります。 |
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