アリシヤ・ロガルスカ

PARADISE AIR共同企画 #1

アリシヤ・ロガルスカ:闇に唄えば
Alicja Rogalska: Singing in the Dark

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Dreamed Revolution, 2014-15, performance, video

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展覧会概要

 千葉県立美術館は、PARADISE AIR(パラダイスエア)との共同企画として、国際的に活動するポーランドの作家アリシヤ・ロガルスカの展覧会を開催します。ロガルスカは、資本主義や移民、フェミニズム、労働、過疎化といった現代社会の抱える不透明な問題と、それに代わる未来のかたちをテーマに、これまで、特定の地域やコミュニティーで「他者」として生活し、リサーチやフィールドワークをもとにした住民との共同制作やワークショップを行ってきました。その作品は、社会の不均衡や歪(いびつ)さをときにユーモアを交えながら浮かび上がらせるとともに、新たな「未来」の景色を探ることにつながります。
 本展では、最初期の作品とともに、現在の関心事と関連する映像作品を展示することで、多岐にわたるロガルスカの活動を紹介します。
 

みどころ

 社会科学、哲学、文化人類学を教育的背景にもつアリシヤ・ロガルスカ。彼女の作品に通底するのは、社会の違和をとらえる鋭敏な感覚です。彼女が試みるのは、現代社会が抱える不透明な問題に対する「オルタナティブな解」を探し出し、資本主義「後」の可能な未来のシナリオを描き出すことです。その「未来」の景色とはどのようなものでしょうか。
 Dreamed Revolution(夢見る革命)》(2014-15年)は、その一つのかたちを想像する実験的なパフォーマンスの記録です。ポーランドの劇場に地元の活動家100人が集められ、暗く、重々しい雰囲気の漂う舞台上で催眠術にかけられます。催眠術は彼らの意識を集中させるだけでなく、それまでに学んだ思考の弊害を取り除くことに利用されました。催眠状態にある活動家は、普段は言えないこと、行わないことを考えながらより自由に未来の一つのかたちを想像していきます。他方、Broniow Song(ブロニュフ・ソング)》(2012年)は、舞台となるポーランド北東部のある田舎町の現状に焦点を当てたものです。豊かなフォークソングの伝統をもつこの町は、反面、失業率が高く、社会的にも経済的にも困難な状況にありました。本作品が映し出すのは、ノスタルジックな民族衣装に身をつつむ人々が、そのイメージに覆い隠された「現状」をユーモアとアイロニーを込めて歌う姿です。
 本展覧会では、他に、淡く緩やかに揺れ動く光や水のなかで、近代が夢見た平等社会と、その失敗を鋭く対比させた《Chiaroscuro City Series(キアロスクーロ・シティ・シリーズ)》(2011年)、インドネシアのストリート・ミュージシャンが路上で自らの生活模様を歌うMy Friend’s Job(友達の仕事)》(2017年)なども展示します。

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Dreamed Revolution, 2014-15, performance, video

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Broniow Song, 2012, contemporary folk song, video

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Chiaroscuro City Series, 2011, video

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My Friend's Job, 2017, performancce, song, video

 

主催

千葉県立美術館、一般社団法人PAIR

協力

長谷川新

会期

平成30年11月20日(火)~12月2日(日)

開館時間

9時~16時30分

休館日

月曜日

入場料

無料

会場

第7展示室


アリシヤ・ロガルスカ Alicja Rogalska

1979年生まれ。ポーランド出身、イギリス在住。2011年ゴールドスミス・カレッジにて美術修士号取得。これまで参加したアーティスト・イン・レジデンスにミュージアム・クォーター(2018年、ウィーン)、IASPIS(2017年、スウェーデン)など。
2016-2017年、ロンドンArtsadminのBursary受賞。

PARADISE AIR(パラダイスエア)

主催:一般社団法人PAIR
助成:松戸市、文化庁(平成30年度 文化芸術創造拠点形成事業)
特別協力:株式会社浜友商事
認定:公益財団法人 企業メセナ協議会

 千葉県松戸市を拠点とするアーティスト・イン・レジデンス(芸術家に一定期間、滞在場所と制作場所を提供し、移動と制作活動を支援する取り組み)。かつて水戸街道の宿場町として栄えた松戸の歴史と伝統を踏まえ、「一宿一芸」をコンセプトに、これまで200人以上の国内外のアーティストを受け入れている。ロガルスカは、現在、PARADISE AIRのロングステイ・プログラム2018(10月1日―12月5日)に参加し、「(不)可能性のエクササイズ Exercises in (Im)possibility」と題したプロジェクトに取り組んでいる。

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美術館