第1節 鷹見泉石  第2節 赤松宗旦  第3節 鈴木南嶺・大西椿年

★★★ 赤松宗旦と椿寿の関係 ★★★  

『利根川図志』は、全6巻から成り、利根川にまつわる歴史・伝説・地理・物産等を記録したものである。特に、昭和13年、柳田国男の校訂によって、岩波文庫の一冊として、出版されてから、多くの人々に注目されてきた。多くの地誌が、行政区画を単位として記されているのに対し、利根川(板東太郎)という壮大な自然を中心として、各地の地元民に直接触れ、各地に伝わる伝承等を優れた技法で著している点に特徴が見られる。郷土愛に満ちあふれたこの作品は、その精神とその精巧な図志で、現代の多くの人々に親しまれている。
  さて、高野家の活躍した舞台「関宿」は、第1巻・第2巻・第4巻で主に扱われているが、その中の第2巻において、高野家の人物が登場する。その名を、「鳳梧」という。
  「鳳梧」とは、3代目椿寿の雅号である。3代目椿寿は、長男桃寿と三男石寿と共に、医家高野家の最盛期を築いた人物であり、次の章で見るように「画(絵)」を好んだ人物でもある。   以下、『利根川図志』に見られる宗旦と椿寿(鳳梧)に関する記述を取り上げてみる。