開催予定
展覧会
オランダ×千葉 撮る、物語る
ーサラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウ×清水裕貴
◆展覧会構成
本展は、「テオ・ヤンセン展」(令和5年度)に続くオランダとの文化交流の一環として開催され、抽象的な構図、反射、影の使い方、独特のフレーミングなどを特徴とするストリートフォトが注目を集める、オランダの新進気鋭の写真家、サラ・ファン・ライとダヴィット・ファン・デル・レーウの作品を日本で初めて紹介する展覧会です。
あわせて、当館初の写真展ともなる本展では、千葉にまつわる写真の歴史にも注目し、千葉を拠点に活動する写真家・小説家である清水裕貴のアプローチを通して、千葉ゆかりの古写真のコレクション(松戸市戸定歴史館)や、当館の絵画コレクションを紹介、テキストと写真・絵画が一体となって織りなす清水裕貴の作品世界を展観します。
会 期 | 令和7年11月15日(土)〜令和8年1月18日(日) |
開館時間 | 午前9時〜午後4時30分(入場は午後4時まで) |
会 場 | 千葉県立美術館 第1・2・3・8展示室 |
休 館 日 |
月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日。11月24日(月)、1月12日(月)は開館) |
入 場 料 | 一般1,000円(団体一般800円)、高大生500円(団体高大生400円) ※中学生以下・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料 |
主 催 | 千葉県立美術館 |
企 画 | コンタクト |
特別協力 | 松戸市戸定歴史館 |
協 賛 | 株式会社シグマ |
後 援 | オランダ王国大使館、日蘭協会、朝日新聞千葉総局、産経新聞社千葉総局、株式会社ジェイコム千葉、千葉テレビ放送、株式会社千葉日報社、東京新聞千葉支局、日本経済新聞社千葉支局、株式会社ベイエフエム、毎日新聞社千葉支局、読売新聞千葉支局(順不同) |
◆眺めの継承―清水裕貴
晩年松戸の戸定邸に隠居した徳川昭武が残した多数の古写真や日誌などの記録、戸外で目の前の風景を捉えようとしたフランス・バルビゾンの画家たち、稲毛にアトリエを構え、人々の営みを見つめたジョルジュ・ビゴー・・・。
千葉の写真家・小説家として活躍する清水裕貴が、写真、絵画、日誌などによって風景(眺め)を継承する人々の営みを、ことばと写真で綴る時空を超えた物語へと誘います。
清水裕貴(しみず・ゆき)
Yuki Shimizu
千葉県生まれ。2007年、武蔵野美術大学映像学科卒業。2011年、第5回写真「1_WALL」グランプリ受賞。2016年、第18回三木淳賞受賞。小説では2018年、新潮社R18文学賞大賞受賞。土地の歴史や伝承のリサーチをベースにして、写真と言葉を組み合わせて風景を表現している。主な出版物に、小説『ここは夜の水のほとり』新潮社(2019)、小説『海は地下室に眠る』KADOKAWA(2023)、写真集『岸』赤々舎(2023)。主な個展に「眠れば潮」(PURPLE、2023)、「浮上」(PGI、2024)、主なグループ展に、「千葉ゆかりの作家展 百年硝子の海」(千葉市民ギャラリー・いなげ/旧神谷伝兵衛稲毛別荘、2021)、「とある美術館の夏休み」(千葉市美術館、2022)、「MOT アニュアル2024 こうふくのしま」(東京都現代美術館、2024)がある。

2024年 ©Yuki Shimizu
◆眺めの反照―サラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウ
独学で写真を学び、アムステルダムとパリを拠点に活動するサラ・ファン・ライとダヴィット・ファン・デル・レーウの〈Metropolitan Melancholia〉〈Still Life〉シリーズをご紹介します。2人の作品は、自身の姿や物体が映り込んだ反射面などにより、歪められ、輪郭が曖昧にされた、夢幻的な風景(眺め)を映し出しています。
2人が「絵を描くように」カメラで捉えた、時に抽象的ともいえるイメージのなかに見え隠れする日常的で映画的な断片は、どこかノスタルジックな物語の余韻を呼び起こします。
サラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウ
Sarah van Rij & David van der Leeuw
アムステルダムとパリを拠点に活動するオランダ出身の写真家。 2人はパートナーであり、ユニットとしても個人としても活動し、考え抜かれたフレーミングと構図によって、シュルレアリスムの系譜に通じる作品を創り出している。ファッションブランドやエディトリアルのコミッションワークも手がける。2023年に2人の初の写真集『Metropolitan Melancholia』をKOMINEKより出版。同年にサラ・ファン・ライによるルイ・ヴィトン フォトブックシリーズ『ファッション・アイ』ソウルも刊行。2025年12月より、サラ・ファン・ライにとって初となる美術館での個展を、パリのヨーロッパ写真美術館で開催予定。
サラ・ファン・ライ《黄色い人々、ニューヨーク》
2022年 ©️Sarah van Rij
◆関連事業
■アーティストトーク
①サラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウ
[日時]11月15日(土)14:00~15:30(英日通訳付)
②清水裕貴×小寺瑛広(松戸市戸定歴史館 研究員)
[日時]12月20日(土)14:00~15:30
◎会場:千葉県立美術館 講堂
◎定員:各180人
◎受講料:無料
◎申込方法:当日受付、先着順(12時から、総合受付前で整理券をお配りします。)
■講演会「写真と絵画 日本の『芸術写真』を中心に」
[講師]飯沢耕太郎(写真評論家)
[日時]12月6日(土)14:00~15:30
◎会場:千葉県立美術館 講堂
◎定員:各180人
◎受講料:無料
◎申込方法:当日受付、先着順(12時から、総合受付前で整理券をお配りします。)
■MuMa(ミュージアムマーケット)
特設ショップとして県内を中心に活動する小売業者が出店し、アートとデザインに関する雑貨や古本などを販売します。
[日時]11月22日(土)、23日(日)、24日(月・振)、1月17日(土)、18日(日)9:00~16:00
◎会場:千葉県立美術館 第7展示室前及び中庭(予定)
◎入場料:無料
◎定員:なし
◎申込:不要
■WINTER JAZZ IMPROVISATION CONCERT
千葉県立美術館初のジャズコンサートを開催します。
展覧会出品作品から触発された、プロミュージシャンによる即興のサウンドインスタレーションをお楽しみください。
[出演]池澤龍作(drums)、スガダイロー(piano)、類家心平(trumpet)
[日時]12月14日(日)13:30~15:30
◎会場:千葉県立美術館 第7展示室
◎参加費:無料
◎定員:200名(椅子席100名)
◎申込:当日受付(先着順)
※申込方法の詳細については、決まり次第情報を更新いたします。
◆同時開催
コレクション関連展示「千葉県立美術館コレクション×写真」
千葉県ゆかりの近代洋画の先駆者、浅井忠(1856–1907)は絵画の制作に写真を活用したほか、『写真新報』に「写真の位置」と題した写真批評を寄稿したり、フランス留学中にはカメラを購入して撮影を行い、仲間と写真の品評会を開いたりと多様な形で写真と関わりました。さらに、従弟の浅井魁一は『写真新報』の発行人も務めた小川一真のもとで働くなどし、写真師として活動しました。
また、千葉県立美術館では浅井が得意とした水彩画のコレクションにも力を入れています。近代日本水彩画の第一人者・三宅克己(1874–1954)の作品もその一つです。三宅は写真にも造詣が深く、写真入門書『写真のうつし方』(1916)は大ベストセラーとなりました。
写真を活用した絵画制作や、絵画的効果を求めた写真制作の動向など、写真の大衆化が進んでいく時代における、浅井と三宅の写真との関わりの一端を千葉県立美術館コレクションからたどります。

三宅克己《駿州三嶋在の緑陰》1947(昭和22)年、水彩・紙