千葉県誕生150周年記念事業・令和5年度特別展 よみがえるチバニアン期の古生物

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 千葉県内に広がるチバニアン期(77万4千年前~12万9千年前)の地層からは、絶滅した世界最大のトドや多くのクジラ、3種類のゾウなど、さまざまな化石が見つかっています。この展示では、チバニアン期の海と大地の古生物たちの化石をあつめ、チバニアン期がどのような時代だったのかを紹介します。 

 

【開催日】令和5年7月15日(土)~令和5年9月18日(月・祝) 

【会場】中央博物館第1企画展示室・第2企画展示室・2Fホールほか

【開館時間】9:00〜16:30(最終入館 16:00)

【休館日】月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、次の平日が休館)(※8月7日、14日は開館します)

【入場料】一般 800(640)円、高・大学生 400(320)円 ()内は団体料金
      ※次の方は無料:中学生以下・65歳以上の方(年齢を示すものをご提示ください)・障害者手帳等をお持ちの方(手帳もしくは手帳アプリをご提示ください)及び介護者1名

【後援・協力団体】
  後援:朝日新聞千葉総局、NHK千葉放送局、千葉テレビ、千葉日報社、bayfm、
     毎日新聞社千葉支局、読売新聞千葉支局、千葉市教育委員会、市原市教育委員会、
     日本古生物学会(順不同)
  協力:アリオ蘇我、京葉銀行、千葉銀行、千葉興業銀行、そごう千葉店(順不同)
  学術協力:京都大学総合博物館、京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻・
       地質学鉱物学教室、群馬県立自然史博物館、佐野市葛生化石館、
       滋賀県立琵琶湖博物館、独立行政法人国立科学博物館、栃木県立博物館、
       八王子市教育委員会、平塚市博物館(順不同)

【助成金等】この展示は、文部省科学研究費補助金 基盤研究費C 22K01021「来館の難しい人が博物館を楽しむための、チバニアンを用いた地域教育プログラム開発(研究代表者:丸山啓志)」の助成を受けました。

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関連行事はこちら

 

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景観復元画「チバニアン期の大地」(画 許 書毓)

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景観復元画「チバニアン期の海」(画 許 書毓)

景観復元画「チバニアン期の海」ができるまで(4分53秒)

 

 展示内容

第1部:房総半島の地層と成り立ち

 房総半島に広く分布する第四紀の地層、特にチバニアン期の地層について概説します。

 

第2部:チバニアン期の大地:ゾウの歩んだ大地​

 房総で見つかるゾウの仲間3種をはじめとしたチバニアン期の陸上生物について解説します。また、古文書などの歴史的研究やデジタルデータによる最新の研究成果も紹介します。

 

第3部:チバニアン期の海:トド・アシカの泳いだ海

 様々なアシカの仲間がくらしていたチバニアン期の房総。当時の海の様子や生物を、復元画や復元模型を用いて紹介します。

 

第4部:チバニアン期後の房総​

 後期更新世(12万9千年前)以降の房総の生物を紹介します。

 

化石クリーニング・ラボ

 化石のクリーニングの実演を毎週木・土・日曜の10:30〜12:00、14:00〜15:30に行います。

 

 関連行事

 事前申込の行事は開催日の1ヶ月前〜2週間前に申し込みを受け付けます。
 場所が記載されていない行事は全て当館で実施します。

■ミュージアム・トーク      

 担当研究員によるミュージアム・トーク(展示解説)を行います。
 7月15日(土)〜9月16日(土)の毎週土曜日
 各回 11:00〜11:30 14:30〜15:00 当日申込:定員なし 
 料金:入場料必要

 

■講演会など          

 ◎ トークショー 古生物サミット in 房総:古生物に関わるおしごと​

 古生物に関わる研究者やサイエンスライター、古生物復元模型作家などのお仕事のプロの方々に、ご自身について分かりやすくお話ししていただきます。
 8月11日(金・祝) 13:00〜16:00 
  【対面】当日申込:150名 料金:入場料
  【オンライン】事前申込:500名 料金:無料
         お申し込みはこちら(申込期間:7月11日〜7月28日)
  【講演者・タイトル】
    土屋 健 さん(サイエンスライター)〈オフィス ジオパレント代表〉
    「本をつくるおしごと」
    徳川 広和 さん(古生物造形作家)〈ActoW代表〉
    「古生物の絵や模型を作るおしごと」
    松岡 廣繁 さん(大学教員)〈京都大学大学院理学研究科 地質学鉱物学教室〉
    「大学のおしごと」
    木村 由莉 さん(研究員・学芸員)〈独立行政法人国立科学博物館〉
    「博物館のおしごと」

  ⚠️対面でご参加の皆様へ⚠️
   受付は9:00から先着順で行います。受付(2Fホール:特設カウンター)の名簿に参加者の氏名と参加人数をご記入ください。定員に達した時点で受付を締め切ります。 

◎ 自然誌シンポジウム チバニアン期の哺乳類化石を探る​

 チバニアン期の房総に棲んでいた海と陸の哺乳類について、専門家の方々によるシンポジウムを開催します。
 9月17日(日) 13:00〜16:00
 当日申込:150名 料金:入場料
  

【講演者】

甲能 直樹 さん〈独立行政法人国立科学博物館/筑波大学大学院〉
「チバニアン期を彩ったアシカ、トド、セイウチたちーその群雄割拠を巡ってー」

<要旨>
 千葉時代(チバニアン期)は、現在の地球磁場(正磁極)の成立(77.4万年前)を以て始まるおよそ65万年間(12.9万年まで)の時代です。この時期には氷期と間氷期の移り変わりも4万年周期から10万年周期へと変わったことから、海洋生物相も激動した時期でした。房総半島の海成層は、文字通り千葉時代を代表する地層群であり、日本近海に生息する鰭脚類とりわけ太平洋沿岸のアシカ上科(アシカやセイウチの仲間)の鰭脚類相の移り変わりを知るのに最適です。
 現在の日本近海には、3種類のアシカ上科の鰭脚類(現在は銚子沖が南限のキタオットセイ、近年姿を消したニホンアシカ、現在は北海道が南限のトド)が分布していますが、千葉時代の鰭脚類相は様相が異なります。この時代の房総半島近海には、キタオットセイとニホンアシカの他に、属のレベルで絶滅してしまった2種類のトド類が生息していました。一方、トドの現生種は見当たりません。また、現在では北極圏にしか分布していないセイウチも生息しており、このセイウチは現生種にはない特徴を持っていたことも興味深い事実です。
 千葉時代を彩ったトドの絶滅種やセイウチの別(亜)種は、一つ前のカラブリア時代(カラブリアン期)の地層からも知られており、少なくともこれらは時代の変わり目を乗り越えながらも、千葉時代の荒波の中で姿を消していきました。一方で、キタオットセイとニホンアシカはその荒波を乗り越え、千葉時代末にはセイウチの現生種が房総の海に出現します。近縁な種間では、しばしば競合により競争が生じて種の交代が起こりますが、千葉時代の房総沖では競合も競争も見当たらず、鰭脚類相の交代劇は環境変動が原因だったことを物語っています。

 

木村 敏之 さん〈群馬県立自然史博物館〉
「チバニアン期の化石が語るクジラ・イルカの進化 」

<要旨>
 クジラ類は5000万年以上の進化の歴史を持っています。最初期のクジラ類は陸上をあることができ、一見すると小型のイヌあるいはマメジカのような姿をしていました。彼らは始新世の終わりごろまでには完全に水中生活へ適応し、分布を広げました。その後現在も生息するハクジラ類及びヒゲクジラ類という2つのグループが現れ、特に漸新世の頃には非常に多様なグループが知られています。そして次の大放散の時期が中新世の頃です。中新世の後半にはマイルカ科やナガスクジラ科など現在の海洋で多数を占めるグループが出現しました。そして鮮新世になると現在と同じ属が散見されるようなります。
 このようなクジラ類がたどってきた進化の道のりを直接教えてくれるのが化石標本です。特にクジラ類の進化の歴史を考える中でもチバニアンを含む更新世の化石記録は現在のクジラ類相を考える上で重要です。その理由は、現在のクジラ類の直接の祖先あるいは種や個体群の多くが出現したのが更新世の頃だったと考えられているためです。このことは化石だけではなく分子系統学的な研究によっても示唆されています。しかし、その一方で更新世の地層から発見されているクジラ類化石はそれほど多くありません。このことは日本だけではなく世界的にも同様のことが指摘されています。そのため現在生きているクジラ類がどのように進化してきたのか、直接の情報があまり多くなく、はっきりとわかっていないのが現状です。
 千葉県では更新世の地層からいくらかのクジラ類の化石が報告されています。それらチバニアンやその後の時代から見つかっている化石を調べることで、現在のクジラ類へとつながる彼らの進化の一端を垣間見ることができます。

 

高桒 祐司 さん〈群馬県立自然史博物館〉
「チバニアン期のシカたち」

<要旨>
 私たちがくらしている日本。現在、ここに自然分布しているシカの仲間は、ニホンジカ(亜種を含む)しかいません。ところが、この千葉県をはじめとして日本列島で見つかっている化石を調べてみると、チバニアン期の日本には、ニホンジカの仲間だけで無く、その他にも今は絶滅してしまったいくつかのシカの仲間がくらしていたことが分かっています。
 今回は、日本から知られているいろいろな絶滅したシカ類、そして、それらの中でも千葉県からたくさんの化石が見つかっている絶滅シカ類の3つの仲間についてお話する予定です。一つ目は千葉県で一体分の左右の角が揃って見つかっているニホンムカシジカとその仲間で、二つ目はヤベオオツノジカが有名なオオツノジカの仲間です。そしてもう一つは千葉県から日本最古級の化石が見つかっているニホンジカの仲間についてです。
 シカの楽園だった太古の日本に思いをはせていただけると幸いです。

 

北川 博道 さん〈埼玉県立自然の博物館〉
「千葉はゾウ化石研究のメッカとなるか?」

<要旨>
 ゾウ化石は日本の大型古脊椎動物を代表するとともに、日本の古生物学史、科学史、博物学史を語るうえでも重要です。日本のゾウ研究の歴史は古く、100年以上も遡ります。化石記録はほぼ全国から知られていますが、その中でも関東平野や滋賀県や大阪府に広がる古琵琶湖層群や大阪層群、野尻湖を有する長野県、そして瀬戸内海の標本を中心に研究が進められてきました。
 千葉県からも多くのゾウ化石が見つかっています。中でもチバニアン期に生息していたナウマンゾウ、ムカシマンモス、そしてトウヨウゾウの3種の化石の産出は多く知られています。
 ナウマンゾウの化石は、初めて全身骨格の復元が行われた印旛沼標本のほか、唯一のオスのほぼ完全な頭骨化石として知られる猿山標本など多くの化石がみつかっています。ムカシマンモスの化石は、実は日本から知られているこの種の標本の多くが千葉県から産出で、タイプ標本も千葉県からの産出です。トウヨウゾウの化石の報告自体はあまり多くはありませんが、近年でもトウヨウゾウの化石がみつかっているほか、これからもみつかる可能性があるため、重要です。
 トウヨウゾウは東南アジアから日本までの広い範囲に生息していたゾウであるにも関わらずその実態はほとんどわかっていないゾウ化石です。続き良い標本が千葉県からみつかり、これらの化石研究がすすむと、千葉県はゾウ化石研究のメッカと呼ばれるようになるかもしれません。

  ※受付は9:00から先着順で行います。受付(2Fホール:特設カウンター)の名簿に参加者の氏名と参加人数をご記入ください。定員に達した時点で受付を締め切ります。 

 

■観察会            

チバニアン期底の地磁気逆転層観察会​

 チバニアンの時代の代表的な地層である市原市田淵の地層を見学します。
(荒天時は中止となります。)
 7月23日(日) 13:00〜16:00 
 事前申込:20名 料金:保険料50円 場所:市原市
 お申し込みはこちら(申込期間:6月23日〜7月9日)
 

 

■講座             

 化石の模型をつくろう

 アンモナイトや三葉虫、恐竜の歯など、いろいろな化石のリアルな模型を、シリコン型を使って作ってみましょう。
 7月30日(日) 10:30〜12:00 13:30〜15:00
 事前申込:各回15組 料金:材料費200円(入場料不要)
 お申し込みはこちら 午前の部 午後の部(申込期間:6月30日〜7月16日)
 

古生物の復元をしてみよう​

 古生物の復元を体験してもらいます。ティラノサウルスの頭骨模型を元に、頭部の復元模型の製作を行います。
 8月13日(日) 10:00〜12:00 13:30〜15:30 
 事前申込:各回15組 料金:無料(入場料不要)
 お申し込みはこちら 午前の部 午後の部(申込期間:7月13日〜7月30日)
 

 

■体験イベント         

古生物の缶バッヂづくり​

 特別展オリジナルの古生物の缶バッヂを作ってもらいます。
 7月16日(日)、9月18日(月・祝)  10:30〜12:00、13:30〜15:00
 当日申込:各回50名 料金:材料費100円(入場料不要)
 

大昔のどうぶつの絵を描こう

 大昔のどうぶつ(古生物)の絵を描いてもらいます。
 7月17日(月・祝) 10:30〜12:00、13:30〜15:00
 当日申込:定員なし 料金:無料(入場料不要)
 

クイズ:ちばの古生物​

 クイズを通して、大昔の房総にどんな生き物がすんでいて、今とどのように違う環境だったのかを学びます。
 8月6日(日) 10:30〜11:00、13:30〜14:00
 当日申込:各回50名 料金:無料(入場料不要)
 

◎ 化石を拾ってみよう

 チバニアン期の化石を自分の手で拾ってお土産にできます。
 8月20日(日) 11:00〜15:00
 当日申込:定員なし 料金:無料(入場料不要)
 

博物館フィギュア×チバニアン期の古生物​

 樹脂粘土で、博物館資料のレプリカをつくります。
 8月27日(日) 10:00〜12:00、13:00〜15:00 
 当日申込:50名 料金:材料費200円(入場料不要)
 

本物の化石にさわってみよう​

 チバニアン期の化石(顔より大きなトウキョウホタテや丸太のように大きなクジラの背骨など)やアンモナイト、サメの歯の化石などにさわっていただけます。
 9月3日(日) 11:00〜15:00
 当日申込:定員なし 料金:無料(入場料不要)
 

古生物の絵本読み聞かせ​

 古生物や展示に関する絵本の読み聞かせを行います。県立図書館との連携企画です。
 9月10日(日) 13:30〜14:00
 当日申込:15名 料金:無料(入場料不要)