令和元年度第5回中央博セミナー

令和元年度第5回中央博セミナーのご案内

千葉県立中央博物館では、職員の調査研究の成果を展示や教育普及事業を通じて、県民の皆さまにお届けするとともに、この中央博セミナーで調査研究の成果発表や調査レポートなどをお届けしています。どなたでもご参加いただけます。

日 時:令和2年2月13日(木)午後2時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順、150名。入館料不要。

発表1

発表者:高橋直樹(地学研究科)

タイトル:房総の地学をたずねて30余年

要旨:地域博物館の大きな使命は、その地域の自然や歴史を探求することだろう。そして、その成果を、展示や教育普及活動、執筆活動等を通して地域の人々に還元し、また、探求の過程で得られた資料を適切に整理・保存し、次代に伝えることが求められる。演者は当初に中央博物館の準備室に配属され、まず博物館の常設展示を制作する作業に従事したことで、短期間のうちに房総半島の地学の全体像を把握する必要に迫られた。大変ではあったが、その後の博物館活動の基礎になったと考えている。無事に博物館が開館した後は、特に自分の関心が高い銚子地域や嶺岡山地の地質及び岩石の調査・研究を進め、その成果を元に、企画展の実施や教育普及活動等を行うことができたように思う。そのような一連の過程を紹介する。

 

発表2

発表者:立川浩之(分館海の博物館)

タイトル:イシサンゴはどんな生きものか?

要旨:イシサンゴ類は、熱帯・亜熱帯の海中景観を彩り、サンゴ礁という地形を造りあげる生きものとして知られている。本発表では、イシサンゴ類はどのような生きものかを解説するとともに、発表者がこれまで調べてきた千葉県産のイシサンゴ類に関するいくつかの話題を紹介する。

 

発表3

発表者:宮正樹(生態・環境研究部)

タイトル:環境DNAで探る千葉県沿岸の魚:101地点から得られたビッグデータの解析

要旨:2015年に発表した魚類環境DNAメタバーコーディング法(以下MiFish法)は,バケツ一杯の水を分析することで棲んでいる魚がわかる技術として国内外で大きな注目を集めた。論文発表後4年半が経過したが,既に全世界6大陸の陸水域や周辺海域から本手法を用いた研究成果が出ており,MiFish法が世界標準の魚類群集調査法になりつつある。また,国内では環境調査会社の標準メニューの一つとして採用される一方で,国交省,農水省,環境省などの関係各省庁が魚類群集や水産資源の新たな調査法として問題点や課題の洗い出しを行っている。今回の発表では,MiFish法の概要を解説すると共に,昨年11月に千葉県全域の沿岸計101地点から得られた海水をMiFish法で分析した予備的解析結果を報告する。