令和4年度第1回中央博セミナー

令和4年度第1回中央博セミナーのご案内

千葉県立中央博物館では、職員の調査研究の成果を展示や教育普及事業を通じて、県民の皆さまにお届けするとともに、この中央博セミナーで調査研究の成果発表や調査レポートなどをお届けしています。どなたでもご参加いただけます。

日 時:令和5年2月16日(木)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入館料不要。

 

発表1

発表者:大津千晶(教育普及課)

タイトル:長期データで迫る植物群落の動態解明 ―人の活動の影響に着目して―

要旨:演者の研究テーマを一言で表すと、「人がもたらす環境の変化に植物たちがどのように応答しているか」であると思う。特に、人は過去から現在にかけて土地利用の変化やニホンジカの増加など、様々な劇的な環境の変化を陸域にもたらしてきた。これらの変化によって、特に森林や草原の植物種の構成がどのように変化しているかに関心を持っている。
博物館勤務1年目の演者は、今までに実施した中部山岳域をフィールドとした調査研究の概要について紹介したい。特に、最近発表した気候変動に対する森林林床の植物たちの長期的な応答を調査した研究について紹介する。


中部山岳域におけるフィールド調査の風景

発表2

発表者:鈴木建人(歴史学研究科)

タイトル:江戸時代のお祭りの姿から古代を探す

要旨:神奈川県大磯町で毎年5月5日に行われる祭礼「相模国府祭(さがみこうのまち)」。千葉県安房地方の「安房やわたんまち」と、祭礼構造や由緒、特殊な語彙に多くの共通点が見られるこのお祭りは、大磯町に国府(現在の県庁に相当)が置かれた時代から続く、千年の歴史を持つ祭礼と言われています。こうした祭りの起源を歴史学的に証明することは困難ですが、文献から江戸時代後期の「相模国府祭」の全体像を復元し、古代の国衙祭祀との連絡が見られるのか検討します。


祭礼「相模国府祭(さがみこうのまち)」の風景

発表3

発表者:小林裕美(歴史学研究科長)

タイトル:おはまおり展を終えて-なぜ神は海へ向かうのか-

要旨:秋の展示「おはまおり-海へ向かう神々の祭-」で提示した「おはまおり」の意味について、改めて整理し、ご紹介します。


勝浦市鵜原の八坂神社祭礼

発表4

発表者:尾崎煙雄(生態学・環境研究科長)

タイトル:樹上で生きるヤドリギ、樹上に登るヒト

要旨:ヤドリギは他の樹木の枝や幹に寄生する植物であり、言い換えると地上では生きられない植物である。このような生き方を持つ植物を樹上寄生性植物といい、「ヤドリギ類」とも呼ばれる。ヤドリギ類は「ヤドリギ」という種を含めて日本に6種、千葉県に4種が分布する。本発表ではヤドリギ類がどんな植物なのかを紹介し、千葉県内におけるその不思議な分布パターンを解説する。また、ヤドリギ類が生育する樹上空間にアプローチすることを可能としたツリークライミング技術によって明らかになりつつある自然誌の一端をお話しする。


樹木に生育するヤドリギ