令和4年度第2回中央博セミナー

令和4年度第2回中央博セミナーのご案内

千葉県立中央博物館では、職員の調査研究の成果を展示や教育普及事業を通じて、県民の皆さまにお届けするとともに、この中央博セミナーで調査研究の成果発表や調査レポートなどをお届けしています。どなたでもご参加いただけます。

日 時:令和5年3月8日(水)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入館料不要。

 

発表1

発表者:渡瀬綾乃(歴史学研究科)

タイトル:集落の寺社とその周縁の研究―中央博以前の調査成果と、今後の展望―

要旨:演者は鹿児島県の下甑島をメインフィールドに、集落の寺社に関わる民俗調査に加えて、日本各地の民俗調査を行ってきた。 民俗学の調査の多くは文献資料を用いた調査以外では特に、人と関わり、語りを聞くことが重要となってくる。 そのためには調査前後にいかに話者に協力してもらい、その成果を研究者だけでなく調査地へ分かりやすく公表することが、次の調査に繋げるために肝要である。 
本講演では、学生・行政の民俗調査員・市史編さん調査員等の立場でおこなった民俗調査の成果を通して得た知見や、今後千葉県の博物館職員として手がけていきたい調査研究の展望を紹介する。

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民俗調査の様子

発表2

発表者:玉井里奈(企画調整課)

タイトル:農家日誌を読む

要旨:「農業」と呼ぶにはささやかな、自給的に行われる稲作や畑作がどのように営まれているかを、ある農家の日誌をもとにお話しします。
戦後、農業の生産性向上のため、農業基盤整備が全国で進められてきました。しかし、今回報告する館山市神余地域では農地の区画整形を行わず、不定形な農地での自給的な耕作が現在まで続けられています。
本報告ではこの地域に農地を持つある家に焦点をあて、農家日誌を読み解くことで、どのような環境や関係性のなかで稲作や畑作が営まれているかをご紹介します。

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稲刈り作業の一コマ

発表3

発表者:林 紀男(環境教育研究科長)

タイトル:侵略的外来水生植物の繁茂拡大とその影響

要旨:千葉県内で侵略的外来水生植物の定着・繁茂が顕著である。1990年以降、ナガエツルノゲイトウ、ミズヒマワリ、オオバナミズキンバイ、オオカワヂシャなど特定外来生物に指定された侵略的外来水生植物が繁茂を広げてきた。 侵略的外来水生植物の繁茂域拡大の要因は、人間生活と密接な関係をもっていることが解明されている。また、侵略的外来水生植物が、治水・利水・親水の各機能に影響及ぼす状況が明らかとなり、今後懸念される事態も予測されつつある。本セミナーでは、千葉県内に繁茂を広げる侵略的外来水生植物の中からナガエツルノゲイトウに焦点を絞り、繁茂域の変遷を解説する。併せてナガエツルノゲイトウが生態系や社会に及ぼす影響の一端を紹介する。

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千葉県内で繁茂域を広げているナガエツルノゲイトウ

発表4

発表者:斎木健一(分館海の博物館 分館長)

タイトル:小中学校向け野草同定ツール「野草カード」「野草検索サイト」の開発と普及

要旨:小中学校の理科には、野草を調べる単元があります。ここで児童生徒は野草観察を体験します。しかし、講師である小中学校教員は多忙であり、他に多くの授業を抱える中で野草に関する知識を身につけることは困難です。この問題を解決するために行った「野草カード」と「野草検索サイト」の開発と普及活動について紹介します。

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「野草を調べる」授業の様子