令和8年度中央博セミナーのご案内
千葉県立中央博物館では、職員の調査研究の成果を展示や教育普及事業を通じて、県民の皆さまにお届けするとともに、この中央博セミナーで調査研究の成果発表や調査レポートなどをお届けしています。どなたでもご参加いただけます。
第2回中央博セミナー
日 時:令和8年9月15日(火)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入場料不要
発表1
発表者:乃一哲久
タイトル:私が担ってきたこと
要旨:私は、平成6年に中央博物館に新採として着任した。当時の中央博は、学芸職員は館で独自の採用試験を行っており、「転勤は無い」が職員間の常識であった。以来33年、私は、中央博採用者としては異例の9回の転勤と1回の兼務を経験してきた。現在の当館職員の多くは、私が短いスパンで転勤を繰り返す「流浪の民」となった後に採用・転入された人達で、私自身の専門や事績について話をする機会も無かったので、この場を借りて紹介する。最初の配置は本館動物科で、ここでの5年間は、もっぱら分館海の博物館設置準備の事務業務を行なった。海博が開館に漕ぎ着けてからの9年間は、魚類を専門とする海博研究員として学芸員業務に従事した。この間には、7年間(2日/月)の安房博物館(現館山市博分館)兼務も経験した。しかし、この後は、短いスパンで転勤を繰り返す「流浪の民」となった。最初の異動先は本館教育普及課で、1年間、「森の調査隊」を担当した。続く3年間は教育庁文化財課で、「公の施設の見直し」が叫ばれる中、県立博物館の整理・統合に抗う対策に追われた。この後は、新設の本館企画調整課で2年間、「千葉県博物館資料救済システム」の構築を担当した。これを纏め、海博に戻ったのも束の間、魚類研究者として再スタートした2年後には再び文化財課に行くことになった。この5年間では、先の見直しで決定した方針を具現化する「県立博物館の今後の在り方」の検討と、大利根・大多喜城分館の移譲交渉を担当した。この末期にはコロナ禍があり、教育普及課に戻っての2年間は、その対策と復旧を中心になって担わざるを得ない立場に置かれた。長旅の末に帰り着いた海博では、3年間、老朽化が進む施設・組織、低迷する利用者数を再び健全な姿に戻し、次世代に継承するための対処に専念した。そして今、再び大利根・大多喜城分館と向き合っている。着任時に思い描いた理想の学芸員人生は送れなかったが、どの任務もやりがいがあった。
発表2
発表者:糸原清
タイトル:戊辰戦争における関宿藩の動向
要旨:戊辰戦争は、江戸時代の幕藩体制から天皇を中心とした明治新政府への移行を決定づけました。江戸城無血開城や彰義隊の戦い等、この中盤は関東が主戦場でした。将軍であった徳川慶喜が新政府に恭順し、新政府軍が進軍する中、関東譜代大名も曖昧な態度を続けられず恭順していきますが、旧幕兵等と結びつき抗戦する藩もありました。関宿藩では江戸屋敷で家臣間の乱闘が突発し、藩主らは逃れ転々とした末に彰義隊がいる上野寛永寺に避難し、彰義隊と共に関宿藩士90余名も新政府軍と戦い、敗走しました。この久世騒動を前後の藩内事件から、少し読み解きます。
第1回中央博セミナー
日 時:令和8年7月28日(火)午後1時30分~
会 場:千葉県立中央博物館 本館1階 講堂(千葉市中央区青葉町955-2)
その他:当日受付、先着順150名、入場料不要
発表1
発表者:下稲葉さやか
タイトル:台湾のキョンの狩猟方法と流通
要旨:キョンは、房総半島南部に定着しているシカ科の哺乳類で、生態系や産業に被害を与える外来種であることから対策が急務です。そこで、捕獲や利活用の参考となる情報を収集する目的で、キョンが自然分布する台湾において原住民によるキョンの狩猟方法や流通等を調査しました。本発表では、原住民の狩猟者や飼育施設、市場、博物館等を対象に実施した聞き取り調査等の結果を報告します。(なお、本調査は県の短期海外研修制度を活用し、自然保護課と共同で実施したものです。)
発表2
発表者:伴光哲
タイトル:千葉県におけるカメムシ研究の話題
要旨:千葉県からは400種を超えるカメムシ亜目が記録されています。この種数は、日本産のカメムシ亜目昆虫の種目の約3分の1程度、近隣の神奈川県から記録されている種目とほぼ同じ数です。私は2019年に中央博物館に着任して以来、千葉県のカメムシ亜目のファウナ解明を研究課題の1つとして取り組んできました。本講演では、私がこれまで解明した知見のうち、2023年に新種記載したキヨスミチビナガカメムシと、2024年に公表した房総丘陵におけるマルグンバイ属の分布調査の結果と今後の展望を報告します。また、千葉県から見つかっているさらなる未記載種についても紹介します。

