「日本の地衣類(ウェブ図鑑)」のサブコンテンツ
 
屋久島の地衣類

屋久島の自然環境

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 屋久杉で有名な屋久島は,九州南端の佐多岬(鹿児島県)から更に南に約60kmの海上に浮かぶ島で,洋上アルプスとも呼ばれ,中央付近に位置する宮之浦岳は,九州地方の最高峰で標高1936mに達します.北緯約30度20分に位置するため温暖な海岸付近では亜熱帯性の植物が見られる一方で,標高1000mを超えると屋久島特有の,スギが優占する冷温帯性針葉樹林が卓越し,山頂付近では地形的要因による森林限界を超え高山的な景観が広がります.

 

← 渓谷沿いの冷温帯性針葉樹林の外観

 

このように標高差が大きいため多様な環境が成立していること,降水量が多いことが,植物をはじめとする様々な生物群における種の多様性の高さにつながっているのは明らかです.しかも「屋久杉」という世界でも類を見ない特別な存在が成立する場所なのだから,その他の生物群においても何か特殊性があるのではないかと期待せずにはいられません.

 

 果たして,どんな地衣類が見られるのでしょうか!?

 
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スギの優占する林内
 

屋久島の地衣類の研究

 屋久島の地衣類に関するまとまった唯一の報告は,佐藤正巳 が1950年(昭和25年)4月10日から5間の日程で安房から小杉谷にかけて調査したときのものでした(文献1).それ以降,断片的な報告はあるものの,その全貌は全く分からない状況でした.

 そこで,2019年(令和元年)10月から,屋久島在住の市民研究員 池田 裕二と当館職員 坂田 歩美は,屋久島産地衣類の全貌を明らかにするため共同研究を始めることにしました.

【文献1】佐藤正巳.1950./ 屋久島の地衣類./ 資源科学研究所彙報 (17・18): 167-173.

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ウツロサンゴゴケ

Bunodophoron diplotypum

本コンテンツ「屋久島の地衣類」

 最初は,海岸から標高1000m付近までの低標高地にはどんな種類があるのかを調べ,その成果をウェブ図鑑にしていくことを目指しました.

 

 更に2021年(令和3年)からは,科研費「日本産地衣類の総合的なデータベースの整備とウェブ公開」(2021~2023年度)(研究代表者:原田 浩)の一部に位置づけ,「日本の地衣類(ウェブ図鑑)」(●リンク)への貢献に加え,「地衣成分」と,「DNAバーコーディングのためのデータベース」のためのデータ取得を各分野の専門家とともに進めました.

 

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ツノマタゴケモドキ

Everniastrum cirrhatum

 この「屋久島の地衣類」では,これらのうち,特に図鑑部分をまとめたものです.当面は,掲載種数が限られますのでご注意ください.

「種のページ(図鑑)」について
地衣類の種ごとに図鑑のページを作りました.このページには,写真の他に,「記載のページ」が埋め込まれていますが,これは関連コンテンツ「日本の地衣類(ウェブ図鑑)」にリンクしています.
 
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※形態(体の造り)の説明は,関連ページ「地衣類って何?」(●リンク)の中の「地衣類の体の造り」(●リンク)をご覧ください.
 
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