舟田池

舟田池の取り組みなど

 舟田池は、広さ1ヘクタールほどのV字型の池で、江戸時代より前からある「ため池」を整備したものです。里山の水環境である「ため池」は、農地灌漑を目的とした水源として人工的に構築されたものです。天然池沼と異なり、定期的な維持管理により「富栄養化を抑止し水環境を保全」してきました。公園の修景池などでは、利水目的を失い、維持管理による撹乱が消失し富栄養化・外来種の寡占化が進んでいます。
 舟田池では、「環境生態工学」の視点から、さまざまな「水環境保全の取り組み」を実験的に検証しています。

■詳しくは当館の研究報告をご覧ください。こちらからPDFでご覧いただけます。
林紀男(2024)舟田池での水環境保全の取り組み─環境生態工学の視点から─.千葉県立中央博物館研究報告特別号12,21-33.

 

かいぼり

「水干し・かいぼり」を定期的に実施することが「ため池」環境保全の基本です。

ポンプで池水を排水開始
池の水干し景観
水を干した池景観
底泥乾燥で、窒素除去・リン不溶化

 

水面上空を管理

 2002年ごろには水鳥のねぐらから水面に落下する糞尿によって池の水質が悪化していたため、ねぐらになっていたハリエンジュを伐採しました。この作業により、池に直接落ちる水鳥の糞尿が激減しました。

水面に張り出すハリエンジュを伐採
水面に張り出した枝が減少し、池に直接落ちる水鳥の糞尿が激減

 

粗朶(そだ)

 伐採した枝を池底から積み上げ、水中にミジンコや仔稚魚が逃げ隠れする場「ミジンコ礁」を創ります。

伐採した枝を池底に組み上げ粗朶を構築
粗朶を複数配置
水没した粗朶には、ミジンコが集う

 

人工浮島

 水面に筏を浮かべ、ひも状接触材を垂らし、ミジンコや仔稚魚の生息空間を創ります。

人工浮島
浮島から垂らした「ひも状接触材」

 

土着水草探索

 池底の土の中に眠る「埋土種子」を撒き出し、休眠打破させ、その土地にかつて繁茂していた水草を復活させる取り組みです。

水を干した池底に穴を掘り、深いところにある昔の底泥を採取
トロ舟に採取した底泥を撒き出し、埋土種子を休眠打破させ水草を蘇らせる
蘇らせた水草は、大きな水槽でリビングコレクションとして栽培し、池への植え戻しに活用

 

隔離水界による水草食害の検証

 池に水草を植え戻しても、ウシガエルのオタマジャクシ・アメリカザリガニなどにより食べられてしまいます。この食害の実態を調べました。

網で囲った食害を受けない保護された環境で水草が育つか検証
翌年以降、網で保護された中では水草が生育することを確認
水界が水没し、上部からアメリカザリガニが入れるようになると、繁茂していた水草が全滅

 

水位撹乱によるアメリカザリガニ低密度管理

 「かいぼり」より簡易な管理手法として、池の水位を上げ下げする撹乱を検証しました。令和7年度現在、この手法による管理を継続しています。

水位を満水位から半減させた池の様子
アメリカザリガニを食べるゴイサギが毎夜に集まるようになった
水位を徐々に下げると水際にゴイサギに食べられたアメリカザリガニの頭胸甲殻が見つかる
水位を下げた池では、サギ類、カイツブリなどがアメリカザリガニを食べやすくなり水辺の水草が豊かに

 

全面結氷した池

 池全面に氷が張ると、波が立たず底泥の巻き上げがなくなり水の透明度が高まります。

全面結氷し、氷の上に雪が積もった状態
水中が静穏状態となり水が澄み渡る

 

舟田池の生きものたち

 池の中には、陸上の生きものたちと同じように、季節に応じた変化があります。
 プランクトン、水生昆虫、カエル、魚、アメリカザリガニ、ヘビ、鳥・・・それぞれが「食う・食われる」の関係で「つながり」、池に「にぎわい」を創っています。特定の生きものが、異常に増えることなく、皆が「なかよく」生活できる池とするため、さまざまな「取り組み」を行っています。
 舟田池の中やまわりの主な生きものを紹介します。

■詳しくは当館の研究報告をご覧ください。こちらからPDFでご覧いただけます。
■そのほか、生態園の生きもの情報についてはこちらをご覧ください。

 

プランクトン

 プランクトンたちは、溶けている窒素・リン、細菌などを栄養源に四季折々の小宇宙を織りなしています。池の中でもプランクトンの種構成・密度は場所によって異なります。プランクトンたちを餌として、さまざまな水生生物が集っています。

● 藍藻のなかま
 ミクロキスティス、ドリコスペルマム、スファエロスペルモプシス、オシラトリア、アファニゾメノン
● 珪藻のなかま
 アウラコセイラ、メロシラ、ヒメマルケイソウ、ヌサガタケイソウ、イタケイソウ、オビケイソウ、ホシガタケイソウ、ハリケイソウ、コメツブケイソウ、ハネケイソウ、フナガタケイソウ、クサビケイソウ、クチビルケイソウ、クサリケイソウ、ササノハケイソウ
● 緑藻のなかま
 クラミドモナス、クロロゴニウム、カルテリア、カタマリヒゲマワリ、タマヒゲマワリ、ヒゲマワリ、オオヒゲマワリ、スフェロキスチス、グロエオキスチス、テトラスポラ、オーキスチス、コダテラ、ミクラクチニウム、ディクチオスフェリウム、アンキストロデスムス、ヒトヅノクンショウモ、フタヅノクンショウモ、イカダモ、アクチナストルム、アミミドロ、ヒビミドロ、サヤミドロ、シオグサ、アオミドロ、ミカヅキモ、コスマリウム、スタウラストルム
● 鞭毛藻のなかま
 ウログレナ、サヤツナギ、シヌラ、マロモナス、ツノオビムシ、ウズオビムシ、クリプトモナス、ミドリムシ、ウチワヒゲムシ、カラヒゲムシ
● 原生動物のなかま
 アメーバ、ツボカムリ、ナベカムリ、フセツボカムリ、太陽虫のなかま、ペラネマ、キロモナス、ボド、ラクリマリア、リトノータス、ゾウリムシ、キクリディウム、コレプス、ハルテリア、オキシトリカ、ツリガネムシ、ラッパムシ
● ワムシのなかま
 ヒルガタワムシ、ツボワムシ、カメノコウワムシ、ウサギワムシ、ツキガタワムシ、エナガワムシ、フクロワムシ、ネズミワムシ、ハネウデワムシ、ドロワムシ、テマリワムシ
● ミジンコのなかま
 オナガミジンコ、アオムキミジンコ、ミジンコ、オカメミジンコ、ネコゼミジンコ、タマミジンコ、ゾウミジンコ、シカクミジンコ、マルミジンコ、ノロ、オナガケンミジンコ、ヤマトヒゲナガケンミジンコ、カイミジンコのなかま

 

その他

■ 水生昆虫
 オオアオイトトンボ、キイトトンボ、クロイトトンボ、ムスジイトトンボ、アジアイトトンボ、カトリヤンマ、ギンヤンマ、クロスジギンヤンマ、ウチワヤンマ、チョウトンボ、ショウジョウトンボ、ハラビロトンボ、オオシオカラトンボ
■ カエル
 ウシガエル
■ 魚
 メダカ類、モツゴ、タモロコ、クロダハゼ、ギンブナ、ゲンゴロウブナ、コイ
■ エビ・カニ・ザリガニ
 スジエビ、アメリカザリガニ、ヨコエビのなかま
■ カメ
 ミシシッピアカミミガメ、クサガメ
■ ヘビ
 ヒバカリ、シマヘビ、アオダイショウ
■ 鳥(池や池岸で見かけるなかま)
 カイツブリ、カルガモ、マガモ、アオサギ、キジバト、カワセミ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、シジュウカラ、エナガ、メジロ、ウグイス、ヒヨドリ
■ 哺乳類のなかま
 アブラコウモリ、タヌキ、アライグマ、ハクビシン、アナグマ