2025年6月19日、当館職員が参加する研究グループは、これまでに知られていない異形のイソギンチャクを、新科・新属・新種として国際学術誌『Diversity』上で発表しました。
このイソギンチャクは、駿河湾や相模湾などから採集されたもので、外見が富士山に似ていることから「ウミノフジサン」という和名が付けられました。学名は Discoactis tritentaculata と命名され、イソギンチャク目の中でも極めて特異な特徴をもつことから、既存のどの科にも属さない新しい分類群(新科・新属)として記載されました。
ウミノフジサンの主な特徴:
・通常のイソギンチャクでは12枚ある「完全隔膜」が10枚しかない
・3本組の触手を最大6組もち、触手のない部分もある
・収縮時の体形が扁平かつ中央が盛り上がり、横から見ると富士山のように見える
当館職員は、本研究において標本の採集・観察・組織学的検討・原稿執筆などを担当しました。
この発見は、イソギンチャク類の多様性や進化の理解に新たな視点をもたらすものであり、今後の分類学・形態学研究においても重要な知見となると考えられます。
【掲載論文情報】
論文タイトル: Mt. Fuji in the Ocean–Description of a Strange New Species of Sea Anemone, Discoactis tritentaculata fam., gen., and sp. nov.
掲載誌: Diversity, 17(6), 430
公開日: 2025年6月19日
URL: https://doi.org/10.3390/d17060430
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