伊豆と千葉からヒラムシの新種発見!

伊豆と千葉からヒラムシの新種発見!

 紙のように薄い体を持つ扁形動物のヒラムシ類は磯の観察会などの人気者。そんなヒラムシのニュースです。

 北海道大学大学院理学研究院の露木葵唯博士と当館研究員・奧野により、伊豆半島(下田と伊東)と房総半島(館山と鋸南町)から採集された標本に基づき、ニセツノヒラムシ科のハイカブリヒラムシ Nymphozoon cinderella Tsuyuki and Okuno, 2024 が新種として記載されました。

 本種はかなり前から伊豆や千葉のダイビングポイントで撮影され、知る人ぞ知る存在でしたが、体の作りや類似した種類との違いが詳しく検討されたのは、この研究が初めてです。その結果、この種類はこれまで日本から記録のなかったシキガミヒラムシ属の1種で、これまでに2種知られていたこの属のどちらにも一致しませんでした。背中の地色はくすんだ白色から淡褐色で、中心に黒で縁取られた赤褐色の縦縞が1本走っています。標準和名と学名は、このくすんだ地色をグリム童話やディズニー映画でとても有名なシンデレラ(灰かぶり姫)に関連づけて提唱されました。

千葉県館山市沖ノ島で採集されたハイカブリヒラムシ

千葉県安房郡鋸南町明鐘岬の浅海で撮影された個体

書誌情報

Tsuyuki, A. and J. Okuno, 2024. Nymphozoon cinderella sp. nov. (Platyhelminthes: Polycladida: Pseudocerotidae), a new species of marine flatworm from Japan. Bulletin of Marine Science, 100(1): 81-94.

https://doi.org/10.5343/bms.2023.0079