江戸時代の終わり頃、関東地方の農村では、若者たちが中心になった芝居の上演が盛んに行われました。演目は江戸の歌舞伎をまねた地芝居などでしたが、祭礼の日などに知り合いが変装して演じるのがとても楽しみだったようで、度々上演されています。また旅芸人などを呼んでの興行もいろいろな名目で行われています。このように村人の芝居熱というのはかなり高かったようで、領主層としてはそれによって村人の生業がおろそかになり、村内の風紀が乱れることを心配し、芝居・手踊りを博打と同様に規制をしたほどでした。
このような環境だったので千葉県内でも各地に舞台があったようですが、いまでも芝居を上演している場所は珍しく、近年では建物の数も減少しつつあります。
当館のおまつり広場に復元した大きな舞台は、千葉県成田市(旧香取郡大栄町前林地区)の歌舞伎舞台で、地区の神社で拝殿として使われていました。明治8年(1875)に建築されたと言われています。舞台中央には回り舞台の仕掛けがあり、奈落で心棒を人力で回すようになっています。
通常は太鼓を自由に叩けるようにしてありますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
農村歌舞伎舞台解説シート