上総の農家

上総の農家

屋敷構

江戸時代後期に建てられた大網白里市砂田(いさごだ)の秋葉家の主屋と市原市栢橋(かやはし)の内藤家の長屋門・土蔵・馬小屋・納屋・木小屋をモデルとして名主クラスの農家を伝統的な工法で再現しています。
敷地は2,500㎡、主屋・土蔵・長屋門・馬小屋・納屋・木小屋・作業小屋・井戸の8棟で構成されています。各建物の内部からは、「梁」「棟木」「母屋」や竹を縦横に組んで茅屋根を受け止める「小屋組」などを見ることができます。
秋葉家は、現存する棟札から、安政4年(1857)、また、内藤家は古文書・建築様式から19世紀後半の建築と考えられています。

 

主屋

主屋間口10間、奥行き6間、面積192.79㎡の茅葺きの建物です。間取りは、なかのま、おく、ざしき(座敷)、なんど(納戸)、かって(勝手)、土間で構成されています。
また、土間の上部には、中二階が設けられています。上層の家らしく、軒下に板を張る「せがい軒」となっています。

 

土間

土間土間は、かまどを使って煮炊きするための炊事場、米など収納場所(籾倉)の他、農作業やわら製品などの作業場として使用するため、床をはらずに地面のままの広い空間になっています。三連のかまどでは毎日ご飯を炊いたり、味噌や醤油を作るための豆を煮たりしました。

 

かって(勝手)

かって主に食事をとる板敷の部屋で、イロリが設けられています。縄ないやワラゾウリ作りなどの手仕事も行えます。

 

ざしき

ざしき式台に接し、あらたまった客をとおします。
大神宮の掛け軸が掛かっている押板(おしいた)があり、その上は神棚になっています。仏壇の上には札入れが並んでいます。
※押板とは
中世に流行したざしき飾りで、近世以降の床の間の前身と考えられています。奥行が浅い板張りの壁で、かまちが付いています。

 

客間

客間なかのま・おくともに畳敷きの床で、来客の接待に使われます。おくは床の間が設えられた部屋で、家の中でもっとも格の高い部屋に当たります。

 

中二階

中二階板敷きの中二階の部屋で、モデルの家である秋葉家では、奉公人の部屋として使われていたようです。

 

納戸

寝室として使う板敷きの部屋で、衣類等収納用の長持、布団や枕屏風などが置かれています。

 

長屋門

中央の扉口通路をはさんで、左右に板敷きの部屋と納屋が作られています。

 

馬小屋

馬を飼育する部分と納屋に分かれています。

 

納屋

農作業に使用する農具を保管する建物です。

 

土蔵

妻入り二階建ての土蔵で、屋根を含めた外壁全体を土壁とし、外観は出入り口を除く1階部分は下見板張り、2階部分と屋根は漆喰(しっくい)で仕上げられています。土壁の屋根の上に瓦葺きの屋根が乗る「置き屋根」構造のため、間の隙間により温湿度の調整が図られることになります。内部は床・壁ともに板張りで、主に穀物や家財を収めておく建物です。

 

木小屋

燃料として使う、炭やたきぎなどを収めておく建物です。