カイガラアマノリ

三番瀬周辺のカイガラアマノリ

カイガラアマノリ
2002年2月24日 千葉県浦安市日の出沿岸で採集
(採集者:浦安市郷土博物館 島村嘉一氏、尾上一明氏)

 

カイガラアマノリは、東京湾や伊勢湾などの内湾に生育する紅藻アマノリ属の一種です。紅藻アマノリ属とは、私たちが食べる海苔の原料となる海藻で、日本では28種が知られています。このうち5種が環境省などにより、絶滅危惧種と判断されており、カイガラアマノリはその中の一種です。
浦安市郷土博物館の島村氏、尾上氏が同市沿岸の海藻を調べている中で、三番瀬を臨む浦安市日の出の沿岸で、打ち上げられている藻体を採集し、海の博物館研究員の菊地が調べたところ、カイガラアマノリであることが確認されました。写真はそのとき採集されたカイガラアマノリの標本で、海の博物館に登録・保管されています(登録番号CMNH-BA-4618)。
カイガラアマノリは、1961年に、東京羽田沖で採集された藻体をもとに新種として記載された種ですが、その後、やや深い所に生えるカイガラアマノリは、東京湾では埋め立てや水質悪化に伴い見られなくなり、絶滅したと考えられていました。ところが、1996年に、東邦大の吉崎誠教授が千葉市千葉ポートパークでカイガラアマノリが打ち上げられているのを発見し、東京湾でも生き延びていたことがわかりました。しかし、東京湾のその他の場所では見つかっていませんでした。
今回、三番瀬を臨む浦安市日の出沿岸で打ち上げ藻体が見つかったことにより、三番瀬周辺海域のどこかにカイガラアマノリが生育していることがわかりました。今後、実際にどのあたりの海域に生育しているのか、どのくらいの量があるのかなどを、浦安市郷土博物館と共同で調べる予定にしています。