海の博物館のホロタイプ1号

海の博物館のホロタイプ1号

海の博物館のホロタイプ1号

 

植物や動物の新種を発表するときには、その種類に対して万国共通の名称である「学名」を新たに与えます。その際、いろいろな特徴を調べ、観察をした証拠となる標本は、タイプ標本と呼ばれます。新種としての根拠を探し出すときには、通常いくつかの標本を調べ、これらをタイプ標本として指定します。さらに、このうちの1個体を特に「ホロタイプ」として指定し、新種の特徴はその個体に基づいて記す必要があります。つまり、新種はホロタイプただ1個体に基づいてつくられるのです。これは、後の研究によって、タイプ標本に複数種が含まれていることが明らかになった場合にも、混乱が生じないようにするための国際的な取り決めです。ホロタイプは、その他のタイプ標本(パラタイプと呼ばれる)とともに博物館を中心とした研究機関に永久的に保存され、研究上必要がある人がその標本を調べられる状態にされていなければなりません。
海の博物館に、ホロタイプとして初めて登録されたのは、1999年12月に当館の奥野淳兒研究員によってアメリカの学術雑誌「Proceedings of the Biological Society of Washington」誌に、新種として発表されたPalaemonella hachijo (和名ハチジョウクラヤミカクレエビ)というエビの仲間(写真)の標本です。この種が発表された論文の中には、この標本が海の博物館に収蔵されていること、また、その標本に与えられた海の博物館の標本番号(CMNH-ZC00017)が記されています。