稲荷神は食物や蚕桑の神として古くから人々に崇拝されていました。江戸時代には商業神、屋敷神としても信仰され「万民豊楽の神霊」として各所に稲荷神が建てられました。キツネを稲荷神の使いとするのは、稲荷大神の別名と、キツネの古い呼び名が共通なことからはじまりました。
この稲荷は、佐原にあるいくつかの稲荷社を調査して作られたもので、特定のモデルはありません。鳥居は佐原市多田の朝日森稲荷神社の鳥居をモデルとして作成されています。鳥居を抜けると左右に狐石像があり、右手の手水で手や口を清めます。玉垣に囲まれた稲荷には、正面奥に社が置かれ、手前には賽銭箱があり、蝋燭立て、花立てとともに、多くの陶器製の狐像が飾られています。玉垣には、店から奉納された幟がはためいています。
稲荷では、2月8日に佐原などに見られる初午の行事が行われます。油揚げ、野菜を供え、篠竹に「初午」と摺った赤い小旗を稲荷の両側に飾ります。