南生実町 みなみおゆみちょう 出羽三山講(千葉市)

調査時期:2010年12月/2011年5月

写真

南生実町出羽三山講では、8月のお盆過ぎに行う ぎょう において、廣照寺で梵天を1本作り、供養塚に持って行って拝みます。昔は村境や用水を引くところ、清水の湧くところなどにも立てました。

梵天の作り方

写真
仮の支柱を軸に藁ヅトを作る
写真
シデを切る
写真
型紙にあわせて幣束の紙を切る
写真
シデを右回りに貼る
写真
頭に挿す三角と幣束
写真
扇や女性の道具は建前用にセットで販売されている
写真
完成した梵天

手順

  1. 藁を結わえ、藁ヅトを作る。切り口を下にして半紙を巻く。
  2. 半紙を半分に切り、それを2つ折りにし切れ込みを入れて作ったシデを右回りに貼っていく。おおよそ1段に12枚、3段に貼る。
  3. 藁ヅトの頭には幣束3本、三角3本を挿す。
  4. マダケの支柱をさし、中ほどに建前道具(日の丸扇と女性の道具(紅皿・鏡・針・櫛・おしろい・なかざし・かもじ)、男女の紙雛)を下げる。

素材

現在の行事と梵天

年1回、8月のお盆過ぎ、今は第三日曜日に梵天行事を行っている。「一日行」または「行」という。山へ行かなかった人も含めて「行」を行うという意味がある。梵天を1本、オツカ(供養塚とも)に立てる。昔は村境や用水を引くところ、清水の湧くところなどにも4~5本立てた。何よりも五穀豊穣の祈願が大切で、農耕には水が大事だったからだろうが、今は祈願の内容が家内安全、交通安全になっているという。お寺(廣照寺)で梵天を作り、お塚に梵天を持っていって拝み、お寺に戻って直会をする。供養塚は、かつては村のはずれにあったが、おゆみ野の住宅地造成にかかって移転した。そのときに梵天供養(近隣の村も招く大供養)を行った。

三山登拝の近況と梵天

三山へは毎年7月20日ころに行っていたが、八剱神社の祭礼(7/28)で神輿の渡御が復活してからは、神輿と神楽の奉納を一年おきとし、神輿を出さない年に三山へ行くことになった。(東電の火力発電所が建設され御浜くだりができなくなってしばらく中断していたが、町内の渡御だけでもやろうと復活させた)。親から所帯を譲られるような年齢になると山へ行くことになっており、何回でも山へ行く人が多い。今も女人禁制である。講の役員は、火の親(代表)と会計がひとりずつ、世話人が各班1名で8名。10名の役員で2カ月おきにオツカの草刈りを行っている。宿坊は神林。毎年、2月ころに役員の家へ来るので、役員だけが集まっている。

出発前に梵天は作らない。朝4時に集まると、神社でお祓いをしてもらい、オツカにお参りし、お神酒をまわして出発する。新行の人がもらってくる腰梵天がある程度たまると記念の石を立てる供養を行う。最近では平成22年に神社の境内に石を立てた。

行人の葬式と梵天

写真
供養塚

行人の葬式には、梵天を墓地にある小さな供養塚に1本立てる。シデの貼り方が左周りで、行の梵天とは反対。山3つを墨で黒く塗る。
日の丸扇は行の梵天と同様につけ、逆さにはしない。