芝原しばはら行堂(長南町ちょうなんまち

調査時期:2011年1月、2月、11月

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行堂での拝み(提供写真)

毎月、芝原(長南町)と森(睦沢町)が一緒に、芝原行堂で八日講を行っています。特に11月には3日間かけて行堂のおまつりをします。梵天を作るのは、三山登拝の前と行人の葬式です。山へ行くときには行堂(ぎょうどう)の前へ3本、川へ1本立てます。葬式では1本を墓へ持っていきます。

梵天の作り方

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3弁の紐結びは三山を表す
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縦に並べた3本の幣束も三山を表す

1本のマダケに3本の幣束を3段につける。細く切れ込みを入れた半紙を3段に巻き、そこに幣束を縛り、三山をあらわす3弁の飾り結びをつけるという形である。

現在の行事と梵天

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芝原行堂
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祭壇に供えた梵天
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祭壇に拝礼する
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毎月、参拝のあとに直会の席が設けられる
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当番が作るけんちん汁

芝原(長南町)と森(睦沢町)とは、八日講を昔からいっしょに芝原の行堂で行っており、毎月8日である。また1・5・9月の26日には妙楽寺、佐貫の行人も芝原の行堂に集まり、一緒に参拝と直会を行っている。また11月には3日間かけて行堂のおまつりを行う(芝原と森)。6日が掃除で7・8日がおまつり。行堂の厨子には大日様・薬師様・観音様が祀られており、その扉をあけ、一晩おこもりをする。厨子の扉をあけるのは年1回、このときだけである。花火をあげ、余興で踊りを踊ったり、昔は子供たちが梵天納めに使う神輿を担いで廻ったりもした。八日講などの通常の集まりでは、厨子を閉めたまま三山拝詞などを唱える。厨子の前には神鏡を祀っている。

梵天を作るのは三山へ行く前と行人が亡くなったときで、年間の行事のなかにはない。

三山登拝の近況と梵天

芝原と森は、三山にも毎年合同で行っている。宿坊は大進坊。上之郷(睦沢町)もいっしょに行くことがあるが、上之郷は吉田坊である。三山へ行く前には梵天を4本作り、3本は行堂の前、1本は川のふちに立てる。川に立てるのには祓いの意味があるという。 また、初めて山へ行った人の腰梵天がある程度集まると、記念の石を立てて腰梵天を納める。「梵天納め」を行ったころは、男も女も派手な着物にたすきをかけ、白足袋をはき、化粧をし、行堂で一番位が高い人の家から行堂まで、行列でドウコを叩いてゼンゼンゴ踊りを踊ったりしながら練りこんだ。近隣の行堂からも万灯を作って参拝に集まった。

行人の葬式と梵天

行人が亡くなると梵天を1本作ってお墓に持って行く。「しのびのことば」などを詠む特別な次第で葬儀を行う。