西廣さいひろ行人会(市原市)

調査時期:2011年5月

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西廣行人会では、2月の冬行、6月の夏行で3本の梵天を作り、山へ行くときにひとり1本ずつの梵天を作ります。
梵天は顔になっており、両脇に耳があります。また、3月15日には天道念仏の行事を行います。

梵天の作り方

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藁ヅトを作る
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「定規」に合わせて和紙を切る
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「花」
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半紙を被せ、紐結びをかける
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紐結びは人の顔を表す
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頭に三角、「花」、黒く塗った割り竹を1本ずつ挿す

手順

  1. 藁ヅトを作る。
  2. 西の内の和紙1枚を2つ折りにし、さらに2つに折り、型を使って切れ込みを入れ、1回開き、2枚重ねで左右に折り下がるような形になった垂れ紙を3枚、藁ヅトのまわりに巻くようにつける。
  3. 頭を半紙で包み、紐結びをかける。両脇には耳を作り、長く下げた紐を、あわじ・あわじ・叶の順に結ぶ。紐結びで人の顔をあらわしている。
  4. 藁ヅトの頭に三角1本、「花」1本、黒く塗った割竹1本を挿す。
  5. 支柱の中ほどにサカキと小幣束をつけ、半紙で巻く。

現在の行事と梵天

年輩者の会であるヨウカッコ(八日講)を月1回行っていた。また2月末日に冬行、6月末日に夏行を行い、3月15日には天道念仏を行っていた。冬行、夏行には梵天を3本作り、また天道念仏には大日様をのせたお宮を西廣院の本堂の正面に据え、四方に竹を立てて拝みの行事をした。近年は参加する人が少なくなり途絶えかけたが、ひとつ下の世代で続けていこうということになり、葬式の供養を再開したところである。

行屋は西廣院の境内にあったが、昭和40年代の団地の造成にひっかかったため、西廣院の本堂を使っている。

三山登拝の近況と梵天

近年では昭和48、57、60、平成2年に登拝している。男性だけで行っている。平成23年にも行く予定だったが延期した。三山へ行くと記念に神社の石段などを寄付し、その脇に名前を入れた記念の石を立てる。宿坊は神林。2年に一度、2~3月ころに檀那廻りがある。

登拝のときには朝早く集合し、女性たちが炊き出しをする。事前に山へ行く人ひとりに対して1本ずつの梵天を作り、養老川に立てて身を清める。かつてはお宮(前廣神社)や西廣院本堂の前にもひとり1本ずつの梵天を立てて安全を祈願した。梵天は山へ行く人の身代りだという。

行人の葬式と梵天

行人の葬式では、講の仲間がお寺で梵天を3本作る。寺の墓地に納骨にくるのを待って列についていき、梵天を墓地に立てて三山拝詞を唱える。